2015/04/22

資産価値の保全は、金(ゴールド)よりもマンションの時代に

「資産価値を保つには、金(ゴールド)よりも、現代アート作品かマンションに投資すべき」、世界最大の資産運用会社ブラック・ロックのフィンク会長が講演で述べたと報じられています。(2015421日 Bloomberg記事)

長きにわたって、混乱期やインフレから資産を守るにはゴールドというのが定番でした。しかし、資産保全の新しい潮流として、現代アート作品と共に、ニューヨーク(マンハッタン)、ロンドン、バンクーバーのマンションを所有することを事例に挙げています。

背景として、金の保有はETFなどで簡単に少額から可能になった代わりに、あまりにも「民主化」されたため、金を保有すること自体の価値が薄まっていると考えられているようです。

また、世界的な大都市では、海外の投資家がマンションを購入するのを支援するサービスが整ってきたことも、背景として挙げられています。

オーストラリアに目を転じると、華人に人気のシドニー、メルボルンでも住宅価格の値上がりが続いています。一等地では家賃利回りがグロスで2%、3%くらいも珍しくありません。
それでも富裕層の資産価値の保全という観点では、保管料がかかる一方で、全く利回りを生まない金(ゴールド)よりはましだと言えます。

キャッシュフローの利回りを重視するなら、グロスで3%では割に合わない水準です。しかし、まずは資産の保全、それから人口増によるキャピタルゲインも見込めると考えるなら、現在のシドニーの価格水準でもさらに買い上がる投資家がいるのも納得できます。

ただし、金の価値の源泉は貴重性にあることを考えれば、金の代替として不動産に投資する場合も、貴重性が重要なファクターとなります。利便性と住環境を兼ね備えた立地で、(物理的な理由、法規制の理由で)新規供給が限定されるスポットを選ぶ必要があります。

近年は東京へも外国からの不動産投資が増えているようです。もっとも、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアと比べて、雪崩のように押し寄せている状況ではないのは、やはり中長期的な人口減が重しになっていると考えられます。

また、金は純度が同じなら、どんな金を買っても価値は同じです。一方、不動産は利用価値も加味されます。希少な立地の物件の中でも、そうした地区に住む人が好む間取り、サイズかどうかまで検討が必要です。

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