2015/04/24

オーストラリアの住宅価格予測-2015~2016年 (2015.4現在)

豪4大銀行の一角NABの見通しによると、2015年4月現在で、今後の住宅価格上昇を牽引するの2015年シドニー、2016年ブリスベンとなっています。

具体的な予測値と全体のイメージが示されたグラフは以下のとおりです。

2015
シドニー  7.7
メルボルン 6.2%
ブリスベン 3.8%

2016
ブリスベン 5.7%
メルボルン 3.5%
シドニー  3.4%

Source: NAB Residential Property Survey

3ヶ月前時点の予測に比べて、シドニーの上昇期間が長引きそうです。中央銀行が利下げを行ったこと、さらなる利下げの可能性も加味してのことでしょう。
シドニーは価格上昇が続いているとはいえ、上昇速度は減速しています。2016年には物価上昇率+アルファくらいに落ち着きそうです。

シドニー住宅市場は、一時はバブル懸念が喧伝されていましたが、どうやらソフトランディングに向かっています。
上昇に乗り遅れまいと、一気に資金が集まっていた風潮もありました。これから減速が明確になれば、今焦って買う必要もないと考える実需層や投資家が増え、ますます減速につながりそうです。特にローンを組んで金利を負担しながら買う投資家はそうでしょう。

ブリスベンは前回予測よりも回復時期が遅れています。州全体の景気がぱっとしないことに加えて、投資資金がまだシドニーに集まっていることが原因と考えられます。
もっとも、2015年後半からはようやく加速し、2016年にかけてはシドニーの上昇率を上回ると予想されています。シドニーが減速する中、2016年以降にブリスベンがどれだけ上昇できるかが見ものです。

現時点では、様々な専門家の声を総合すると、今後2年程度のスパンではブリスベンを押す声が多いです。

近年のシドニーの上昇率に比べれば、ブリスベンは2016年の予測でも5.7%上昇と、大したことがないようにも見えます。しかしこれは都市全体の平均値で、これを上回る地区もあること、不動産投資の場合はレバレッジを利かせやすいことから、投資として堅調な数字と考えます。

目下のシドニー市場では、それなりの物件が売りに出ればすぐに買い手がついてしまう状況です。そもそもの選択肢が少ない上に、じっくり値段交渉をしたり、建物の検査をしている余裕はありません。
NABの予測によると今買っても値下がりするわけではなさそうですが、もう少し在庫が増えて(買い手が減って)、物件の選択肢が増える時期を待ってもよいだろうと考えています。

短期的には何でも買っておけば値上がりするかもしれませんが、やはり中長期で見れば、構造に問題のあるような物件を飛びついて買ってしまうのは避けたいです。

なお、上記各都市の数値は、平均値にすぎません。ひとつの都市の中でも、価格上昇率が平均を上回る地区もあれば、下回る地区もあります。

NABの同調査によると、以下の地区での価格上昇率は、それぞれの州・都市の平均を上回ると予測されています。

ブリスベン市内でいうと、Brisbane(中心区)、New Farm、Paddington、West End地区では、ブリスベン平均の3.8%を超える上昇が見込まれています。

しかしこれも、「地区内の平均」の話にすぎません。厳密には、地区内のどのスポットかもまた選別が必要です。
同じ地区でも、洪水など自然災害の被害を受けやすい個所、交通量が多くて騒々しい個所、夜暗くて治安に問題がある箇所など、価格や賃貸需要に影響を与える様々な要素があります。

Source: NAB Residential Property Survey

ところで、シドニーでは物件価格と平均所得の関係でも、そろそろ購入可能な値段ぎりぎりに達していると言われることがあります。確かに豪国内の実需層・投資家に関してはそう言えます。

しかし、アメリカや中国の投資家から見れば、豪ドルの下落とともに、自国通貨でみたオーストラリア不動産価格が下がっているのも事実です。シドニーの価格が本当に減速するかは、この点も波乱要因になるかもしれません。

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