2014/08/04

東京ワンルーム投資の行く末

このところ、東京23区内のまともなワンルーム物件は、築20年以上でも、表面利回りで8%台になっています。それも私鉄マイナー路線の、都内在住者にもあまり知られていない駅だったりします。

不動産業者から送られてくる売り物件リストを見ると、都内の比較的好立地で利回り9%、10%のものだと、借地権(土地の所有権なし)、家賃比で建物管理費が異常に高い、修繕積立金が貯まっていないなど、何か難のある物件ばかりです。

2010年、2011年頃までは、23区内で、立地、価格、管理状況などの諸条件のそろった物件でも、表面利回りで10%前後でした。

2012年には、アベノミクス前から、そろそろ底打ちと言われ、価格は上がっていなくても、条件のそろった物件が市場に出回ることが少なくなっていた印象です。将来の値上がりを見越して、売り惜しみが出始めていたのでしょう。

2013年以降は明らかに価格が上昇しています。2010年ごろの感覚で物件を探していたら、何も買えません。

現在の一般的な表面利回り8%台なら、数年前には六本木、麻布、渋谷、表参道など本当の都心で物件を買えた水準です。

数年前まで、東京のワンルーム投資は、キャピタルゲインは毎年ややマイナスで、その分、表面利回り10%程度のキャッシュフローで稼ぐ投資でした。

もっとも、年間のキャッシュフローによる利回りが10%から8%に低下しても、キャピタルゲインが2%以上見込めるのであれば、総合的な投資の魅力は変わりません。

仮に、キャッシュフローの利回りが8%で、さらにキャピタルゲインが毎年5%見込めるという状況になれば、以前より投資としての魅力が増しています。

近年、海外からの投資が増えているという話をよく聞きますが、以前より東京の不動産投資の魅力が向上していると判断した海外投資家が増えているということです。

ただ、キャピタルゲイン狙いの投資家は、ここが売り時と思えばどんどん売ってきます。出口の時期の見極めは必要です。

オーストラリアのように人口が増え続けている国であれば、仮に今回の不動産価格上昇のピークは過ぎたとしても、またいつか景気が良くなったり、金利が低下した時期に、改めて価格が上昇に転じる可能性があります。売り逃しても、またチャンスは回ってくるでしょう。

一方、東京のように将来の人口減少が予測されている都市の場合は、インフレ率以上に不動産価格が上昇していくのは、おそらく今回が最後だと思われます。

今回の価格上昇の波に乗れないのはもったいないですが、東京五輪開催ごろと言われるピークの売却時期を逃して、価格、家賃も下がる一方の状況で保有を続ける状況にならないよう注意が必要です。

不動産は一生の買い物という感覚の日本では、不動産を買うからには長期的な投資ではないかと考えがちですが、海外では必ずしもそうではありません。業者ではなく、個人投資家ですら、安値で買って、修繕・内装を施し、すぐに高値で転売するのを繰り返している人もいます。

キャピタルゲイン狙いの海外投資家にとっては、2014年から2020年までの6年間というのは、十分な保有期間です。問題は、彼らがどの時点で出口を探るかです。

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