予測値(年間上昇率)のイメージが示されたグラフは以下のとおりです。
NAB Quarterly Australian Residential Property Survey
ブリスベンが1位といっても、年率5%弱で、力強い上昇とまでは言えません。シドニーの次の値上がり都市はブリスベンと過去2年ほど言われてきましたが、NABの見通しでは、ブームにまではならないようです。
もっとも、上記グラフに表れた傾向が続けば、シドニー、メルボルンは2017年にはマイナス成長となる可能性があります。今後2年間で言えば、ブリスベンが最も堅調な値上がりが期待できそうです。
家賃収入4~5%+キャピタルゲイン5%であれば、それほど悪い数字ではありません。
ただし、アナリストが出すこうした予測は、現在の傾向が続いたらというシナリオを前提とします。世界経済に予想外のことが起こったり、可能性が低いと想定されていたことが実際に起こった場合、おそらく異なる結果となります。
例えば、オーストラリアの景気が想定以上に悪化し、移民流入(人口増加)も減速したり、あるいは逆に、途上国でキャピタルフライトが起き、特定の都市に資金が流れ込んだ場合は、この予測とは異なる結果となるでしょう。
ところで、同レポートでは、外国人投資家の動向も紹介されています。
以下のようにビクトリア州(メルボルン)では、売りに出された新築マンションのうち28.5%を外国人投資家が購入したようです。
NAB Quarterly Australian Residential Property Survey
(豪当局は、ようやく今年から捜査権限を国税庁に移管し、本格的に取り締まるようになりました。罰則も厳格化されています)
また、3か月前に比べて、クイーンズランド州(ブリスベン、ゴールドコースト)の数値が上昇し、NSW州(シドニー)を上回るに至りました。
一方、日本でも「シドニーでは普通の戸建てが1億円」と報道され、オーストラリアの不動産はバブルではないか、大丈夫かと聞かれることもあります。
確かに、現状、適正価格よりは割高と言われていますが、「普通の戸建て」と言っても、平均的な敷地面積は400~600㎡あります。
今、東京の練馬区(平和台駅徒歩7分)で、175㎡の敷地で1億円で売りに出ている中古戸建が見当たりますが、平米単価で見れば、東京のほうがよほど高いです。
ただ、オーストラリアでは、戸建てもマンションも、ロットが大きいため、「戸当たり」で見た価格はどうしても高くなりがちです。
日本の1980年代後半のバブルでは、ピーク時、新宿の新築ワンルームが1億円で売れたと聞いています。専有面積20㎡程度と思いますが、平米単価500万円と、これこそが正真正銘のバブル価格です。
現在建築中の、目黒駅前のマンションが平米単価200万円程度のようです。好立地ではありますが、千代田区の番町や港区の麻布、赤坂と比べ、東京の一等地の中の一等地とまでは言えません。
それが平米200万円するのであれば、シドニーの価格も都市の規模に比して割高ではあるものの、バブルと喧伝されるほどではなかろうと思います。
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