2015/11/19

オーストラリア住宅価格予測--2015~2016年 (2015.10月現在)

豪4大銀行の一角ナショナル・オーストラリア銀行(NAB)の見通し(2015年10月現在)によると、今後、シドニー、メルボルンは急減速、2016年にはブリスベンが上昇率1位となりそうです。

予測値(年間上昇率)のイメージが示されたグラフは以下のとおりです。


NAB Quarterly Australian Residential Property Survey

ブリスベンが1位といっても、年率5%弱で、力強い上昇とまでは言えません。シドニーの次の値上がり都市はブリスベンと過去2年ほど言われてきましたが、NABの見通しでは、ブームにまではならないようです。

もっとも、上記グラフに表れた傾向が続けば、シドニー、メルボルンは2017年にはマイナス成長となる可能性があります。今後2年間で言えば、ブリスベンが最も堅調な値上がりが期待できそうです。
家賃収入4~5%+キャピタルゲイン5%であれば、それほど悪い数字ではありません。

ただし、アナリストが出すこうした予測は、現在の傾向が続いたらというシナリオを前提とします。世界経済に予想外のことが起こったり、可能性が低いと想定されていたことが実際に起こった場合、おそらく異なる結果となります。

例えば、オーストラリアの景気が想定以上に悪化し、移民流入(人口増加)も減速したり、あるいは逆に、途上国でキャピタルフライトが起き、特定の都市に資金が流れ込んだ場合は、この予測とは異なる結果となるでしょう。

ところで、同レポートでは、外国人投資家の動向も紹介されています。

以下のようにビクトリア州(メルボルン)では、売りに出された新築マンションのうち28.5%を外国人投資家が購入したようです。

NAB Quarterly Australian Residential Property Survey 

もっとも、この数値には、豪国籍(永住権)を持つ親族など、海外からの投資であることを当局に報告する義務のない他者名義で購入する「裏口」は含まれていないため、実態の数値はさらに高いと言われています。
(豪当局は、ようやく今年から捜査権限を国税庁に移管し、本格的に取り締まるようになりました。罰則も厳格化されています)

また、3か月前に比べて、クイーンズランド州(ブリスベン、ゴールドコースト)の数値が上昇し、NSW州(シドニー)を上回るに至りました。
まだ割安とされるブリスベン、ゴールドコーストに外国人投資家の目も向き始めたようです。

一方、日本でも「シドニーでは普通の戸建てが1億円」と報道され、オーストラリアの不動産はバブルではないか、大丈夫かと聞かれることもあります。

確かに、現状、適正価格よりは割高と言われていますが、「普通の戸建て」と言っても、平均的な敷地面積は400~600㎡あります。

今、東京の練馬区(平和台駅徒歩7分)で、175㎡の敷地で1億円で売りに出ている中古戸建が見当たりますが、平米単価で見れば、東京のほうがよほど高いです。
ただ、オーストラリアでは、戸建てもマンションも、ロットが大きいため、「戸当たり」で見た価格はどうしても高くなりがちです。

日本の1980年代後半のバブルでは、ピーク時、新宿の新築ワンルームが1億円で売れたと聞いています。専有面積20㎡程度と思いますが、平米単価500万円と、これこそが正真正銘のバブル価格です。

現在建築中の、目黒駅前のマンションが平米単価200万円程度のようです。好立地ではありますが、千代田区の番町や港区の麻布、赤坂と比べ、東京の一等地の中の一等地とまでは言えません。
それが平米200万円するのであれば、シドニーの価格も都市の規模に比して割高ではあるものの、バブルと喧伝されるほどではなかろうと思います。

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