世界80カ国に拠点を持つJLL(総合不動産サービス企業)が、都市の競争力に関するレポート「Globalisation and Competition: The New World of Cities」を公表しました。
元のレポートはこちらから。
ロンドン、ニューヨーク、パリ、東京、シンガポール、香港の6大都市を、'Established
World Cities'(確立した世界都市)としています。都市インフラ、経済活動、人的資源などの総合的な指標で、別格という扱いです。
もっとも、今後10年間で他の都市が台頭し、この「6大都市」という枠は、「8大都市」や「10大都市」に拡大されると予測されています。この枠に新規に入る有力候補として、シドニー、ソウル、トロントが挙げられています。
また、近年、国際的な存在感を高めている'New World Cities'(新しい世界都市)として、以下の20都市が挙げられています。
コペンハーゲン
ウィーン
ミュンヘン
モントリオール
オスロ
ハンブルク
トロント
バルセロナ
ベルリン
バンクーバー
ボストン
メルボルン
シアトル
マイアミ
ブリスベン
オークランド
デンバー
ケープタウン
テルアビブ
サンチアゴ
オーストラリアからはメルボルン、ブリスベンの2都市が'New World
Cities'に入っています。
従来は、シドニー、メルボルンの2大都市が有名でした。一方、ブリスベン都市圏の人口も200万人を超え、中長期的に人口増加が続く見込みで、これから世界的な認知度が高まりそうです。
近年、エコノミストやモノクルなどが主催する、世界の住みやすい都市ランキングでも、ブリスベンが取り上げられるようになりました。
従来はおそらく「調査対象外」の無名都市だったと思いますが、昨年のG20開催もあり、世界的に名前が売れつつあります。
なお、ブリスベンで2028年の夏季オリンピックを招致する動きがあり、州政府・市役所として正式に招致活動を行うか否か、2016年中に結論を出すようです。
シドニー、メルボルンでは過去に開催していること、また、現在のIOCのルールで7月~8月(オーストラリアでは冬)の開催が要件となっていることから、将来オーストラリアで開催する場合は、1年を通じて温暖なブリスベン・ゴールドコースト周辺しか選択肢がないと言われています。
また、上記リストのうち、トロント、バンクーバー、シアトル、マイアミ、メルボルン、オークランドは、海外からの投資資金の流入で、住宅価格が高騰しているとよく報じられています。6大都市と比べて市場規模が小さいため、沸騰しやすいと言えます。
特に途上国の富裕層は、将来の移住の可能性(子女の留学もその足掛かりと言われる)も視野に入れているため、英語圏で生活環境の良い都市が選好されるようです。
'Established World Cities'、'New World Cities'とは別に、存在感を高めている途上国の大都市が'Emerging World Cities'として挙げられています。分類は以下のとおりです。
その地位を確立しつつある都市
上海、北京
競争力ある巨大都市
イスタンブール
クアラルンプール
台北
メキシコシティ
機能的な新興都市
ドバイ
サンチアゴ
バンガロール
深圳
インフラ整備に課題を抱えるが、潜在力のある都市
ムンバイ
マニラ
ジャカルタ
マニラ、ジャカルタも中長期的な成長が魅力的ですが、個別物件の賃貸管理のリスクを勘案すると、我々がいずれ投資するなら、REITか、住宅やオフィスを開発・販売している企業に投資するかなというのが、現時点での感覚です。
人口が増えるということは、新規の住宅供給も相応に増えるということです。自分が購入する物件の将来の競争力がどうなるか、より好立地に高層マンションが林立しないか、都市の中心が移動しないか、など見極めが大切だと思います。
どの地区の人気が高まり住宅価格が上がるかは分からないが、とにかくどんどん住宅が建ち、買い手もいくらでもいるという状況が想定されるのであれば、住宅の売り手サイドへの投資も面白いと思います。住宅の売れない時期を乗り越えられる経営陣の先見性、企業体力があることが前提ですが。
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