Source: propertyupdate.com.au
住宅価格の高い地区(suburb)では、値上がり期の上昇幅が大きい代わりに、値下がり期の下落幅も大きい、つまりボラティリティが高めである傾向が表れています。(2003年頃は低価格帯がキャッチアップを演じたようですが)
逆に、価格の低い地区では、値上がり期の上昇幅が比較的小さく、値下がり期は下落幅も小さい傾向が分かります。
そして、以下は、2015年10月までの12か月間の、各都市の価格帯ごとの住宅価格の値動きです。
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ブームに沸いたシドニー、メルボルンでは、上位の価格帯ほど、上昇幅が大きくなっています。
過去の値動きに倣えば、典型的な上昇局面のパターンです。
一方、値下がりしたパース(天然資源産業が柱)では、高価格帯ほど下落幅が大きく、これも過去の値動きに倣ったものとなっています。
高価格帯のマーケットでは、資金に余裕のある投資家とともに、そこに住むためなら追加料金も支払える高所得の実需層の需要もあるため、上昇局面では価格が上がりやすいと言われています。目下の東京都心の状況でも、これは当てはまりそうです。
一方、低価格帯のマーケットでは、比較的低所得の実需層がメインとなるようですが、他の地区と比べて価格が低いことが購入の主な動機であるため、上昇局面では価格を押し上げる力が弱いと言われています。
もっとも、この価格帯では、投資家層の参戦がもともと少ないため、価格下落局面でも振れ幅が小さいと言えそうです。
過去の傾向が示唆するこれからの動きですが、
シドニー、メルボルンが下落局面に入った場合、高価格帯の物件ほど、値下がり幅も大きくなるおそれがあります。これから参入を検討している場合は注意が必要です。
ブリスベンでは、中間の価格帯が直近では一番強かったようです。投資家(特に海外)からの注目度が低かったため、実需層が中間価格帯のマーケットをけん引していたと考えられます。
もっとも、これから本格的に上昇局面を迎えた場合、過去の値動きに倣うなら、高価格帯の物件が上昇幅を伸ばす可能性があります。
これまでシドニー、メルボルンに投じられていた資金がブリスベンに向かった場合、シドニー、メルボルンとの価格差も考慮すれば、ブリスベンの上位25%が投資ターゲットとなる可能性が高いです。
もっとも、直近でシドニー、メルボルンの不動産が活況を呈したのは、サービス産業の比重が高く、雇用も多く生まれたことも要因です。
資源産業の景気が良かった時期であれば、パースやブリスベンに移住していた人々が、シドニー、メルボルンに留まり、過去に比べて人口の伸びも大きかったようです(住宅需要の増加)。
したがって、今後、より良いリターンを求めて、投資家の目は割安のブリスベンに向くかもしれませんが、雇用の増加、人口の増加の面でまだ不透明なところがあり、実需層の弱さがブリスベンの住宅価格の重しになるかもしれません。
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