2014/09/29

オーストラリア不動産の価格予測

不動産業界、金融業界のアナリストによる分析を総合すると、これから2016年ごろまでに、シドニーは10%~20%の上昇、価格上昇が出遅れていたブリスベンでは20~30%の上昇が予想されています。(2014年9月現在)
※ 新築、中古を合わせ実際に取引された価格の中央値

2016年頃が、2008年末から始まった今回の値上がりサイクルのピークとなりそうです。

シドニーは2008年末の底値から、既に価格が50%上昇しました。


一方でブリズベンは、2011年の歴史的な大洪水、続く公共経費削減から、地域経済が立ち直りを見せている局面です。
不動産価格が2011年から12年にかけて下落したこともあり、2008年末からの上昇幅は5%に留まり、大幅な上昇余地がありそうです。

ただし、シドニーでの価格急上昇を受けて、中央銀行が性急な利上げや、不動産投資への融資規制などを行い、ブリズベンでの上昇の芽を摘まないことが前提です。

2016年以降は、2018年から2019まで、価格はやや下げから横ばいで、合計マイナス5%から10%の調整下げとなりそうです。


どこまで下げるかは、ピーク期の上げ方しだいです。ソフトランディングの場合は、ピーク後も下げずに、物価上昇分(年2~3%)程度、上がり続ける可能性が指摘されています。

2018~2019年までの調整一巡後は、年平均5%程度の上昇が見込まれています。

中国経済の成長速度の鈍化、資源ブームの落ち着きから、歴史的な価格上昇率である年7%からは低下する見通しです。

近年と同様に、物価上昇率2.5%、実質GDP成長率2.5%、人口増加率1.5%として、年平均5%の価格上昇は、穏当な水準と思われます。


ただし、金利動向や、中国から逃避した資金が一気に流入するなどで、一時的に年10%超の上昇を見せる時期はありそうです。


一方で、横ばいの時期や下がる時期もありますので、今後、8年、10年といった中期で均せば年平均5%上昇の見込みということです。

上昇、下落がいつかは事前にピンポイントでは分からないため
(良心的なアナリスト・専門家は、自分にも、誰にも分からないと明言しています)、中長期的に保有を続ける必要があります。

急激な値上がりに気付いてから(ニュースや雑誌で報じられてから)動いたのでは、さらなる値上がりを織り込んだ価格でしか取得できませんから、値上がり局面の利益をフルに享受することはできません。

また、年5%といっても都市全体の平均です。立地、物件によって、平均より高くも低くもなります。
したがって、平均を上回る可能性が高い物件を選ぶということです。

2014/09/28

海外のどんな地区で買うのか

筆者のオーストラリア不動産投資の師匠、マイケル・ヤードニー氏は以下のように述べています。
「これから不動産投資で成功するには、カフェ文化がカギになる。」

伝統的には、オーストラリアでは、都心のマンションよりも、緑豊かな郊外の一戸建てが好まれていました。

600㎡くらいの敷地で、裏庭で子供たちがクリケットをして遊べるくらいのサイズです。

今でも、こうした戸建て・敷地のパッケージは売られていますが、都市人口の拡大した今では、庶民に手が届く価格帯となると、通勤にはかなり時間のかかるエリアとなります。

近年では、オーストラリアの若い年齢層では、庭付きの戸建てにそれほどこだわらなくなってきました。

マンションで良いので、歩いていける距離におしゃれなカフェやレストラン、スーパー、大きな公園がある立地が好まれるようになっています。
通勤に便利な駅やバス停まで住居から歩いていけることも重要なポイントです。

30代~40代以下の経済的に余裕のある専門職層は、こうした都心に近く利便性の高い立地を好みます。(大都市のこういう立地で戸建てだと最低でも1億円になり、さすがに手が出る人は少ないため、マンションを選択となります)

近年では、50代~60代以降の子育てが終わった層でも、戸建て住宅を売却して、店舗や病院などが近い便利な立地のマンションに移るケースも増えています。マンションだと庭や建物の手入れを自分でしなくてよい、セキュリティも安心ということもあるようです。

経済的に余裕のある層が追加料金を払ってでも住みたいと考える地区では、中長期的に物件価格や家賃が上昇していきます。その中でも新規供給が少ないエリアでは、高所得層が競いあって値を上げます。

経済的なゆとりがあることで外食の需要が多いため、おしゃれなカフェやレストランが周辺にでき、ますます富裕層好みの街並みになっていきます。

以下の写真はブリズベンの例です。


高所得層好みの住宅街(都心まで2km)
(左手にバス停、地元で人気のカフェが見える) 

高所得層好みの閑静な住宅街のストリート
(都心まで3km)

一方で、価格や家賃が安いからという理由で人が住んでいる地区では、価格を上昇させるドライバーがあまりありません。

今後10年、20年のスパンで、「経済的に余裕のある層が、どこに住みたいだろうか」と考えることが、エリア選定の鍵です。

シドニーの物件価格は、この20年間で平均約300%の上昇(価格は4倍)となりました。

この300%というのは都市全体の平均値ですが、地区によって上昇幅は200%から400%と差が付いています。

成長が低かった地区でも価格が3倍になっていますから、これでも十分と感じるかもしれません。

それでも、20年前に5000万円を投じて物件を購入したとして、ある地区で購入していれば今、15千万円の価値、別の地区なら25千万円の価値と、1億円も開きが出ています。

20年前には同水準の一等地と評価されていた地区でも、ライフスタイル、志向の変化で、現在、準一等地に下がってしまった地区もあれば、超一等地に昇格した地区もあります。

このように、地区の選定によって、将来の資産状況は大きく変わる可能性があります。

今、いい地区だと言われているところが、10年後、20年後もその地位を保てそうか、今よりも希少性を増していそうかを検証したうえで投資しなければいけません。

オーストラリアに限りませんが、将来人口が増えるから、GDPが増えるから、街のどこに投資してもいいかというと、そんなことはありません。立地によって、将来の上昇幅に必ず差がつきます。


海外からの投資だと、現地のトレンドを把握しにくいこともあります。

物件の仲介業者自身が自分でも投資しているタイプであれば、関心を持ってトレンドをフォローしているでしょうが、単に仕事で不動産を売っているだけなら(しかも外国人だけを相手に)、あまり関心がないかもしれません。

長く業界にいるなら、かえって昔の常識のままで商売を続けている可能性もあります。「地元の人はこういう物件が好みですよ」と悪気なく古い情報を伝えている可能性もありますので、注意が必要です。

投資家が自分で調べるのがベストですが、言葉の関係で難しいなら、物件を薦める業者が自分でも不動産に投資しているか、自分も近年物件を購入しているかが目安になるでしょう。

自ら投資経験のある業者であれば、地元のプロとして、どういう視点で物件を選んでいるのか有益な情報を持っているはずです。逆に、こうした情報を提供できない人の言うことは、鵜呑みにしてはいけません。

2014/09/25

海外不動産の買ってはいけない物件-大規模マンション

投資用物件としては、オーストラリアで自らも投資している不動産専門家の間では、概ね50戸以下の中・小規模のマンションが推奨されています。可能であれば、20戸以下が理想です。

大規模マンションの問題点は、複数の同じような間取りの物件が、同時に売却、賃貸募集されるリスクがあることです。値段を下げることでしか差別化できません。

さらに、建築規制の厳しいオーストラリアでは、大規模マンションを建築できる地区は限定されています。このため、こうしたマンションが開発されるエリアでは、これからも似たような大規模マンションが次々と周辺に建築される可能性が高いです。
いずれは、自分が購入した物件よりも新しい物件と競合することになります。

典型的にはタワーマンションで、間取りや広さは全く同じで、違いは階数だけというものです。
同じ間取りの物件が7階、10階、12階、15階で同時に売り(賃貸)に出ているとなると、買い手(借り手)のほうが交渉で有利になってしまいます。
「一番多く値下げしてくれた人から買う」となりますので。

また、買い手としては、将来自分が売るときも同様の状況になるリスクを織り込みますから、それほど高くは買ってくれません。(それを織り込まずに買ってしまうと、将来が大変です)

戸数が多い場合でも、低層マンション(3階程度まで)で敷地が平面的に広い場合なら、景観や立地状況に違いが出ますので、まだ差別化できます。

1LDK3LDKの間取りの割合が分散され、さらにリバービューやオーシャンビューの有無で明確な違いがあればよいです。
さらに同じ2LDKでも、バスルームの数やバルコニーのサイズがそれぞれ異なるなど、特徴のある建物がベターです。

同じ建物の中でも、こうした違いで価格水準がだいぶ異なりますから、売るとき、貸すときに競合するリスクが低減します。

開発の規模が大きくなるほど、宣伝・広告にも資金を投入でき、外国人投資家の目にも留まりやすくなります。
メルボルン中心部の開発案件では、地元の人に比べて高く買ってくれることが多い海外(中国)でしか宣伝していないと問題になったほどです。

閑静な住宅地での全8戸の小規模開発なら、海外向けに大々的に宣伝されることはありません。
本来、キャピタルゲインを狙うなら、こうした希少性のある物件を追うべきです。

そしてこうした小規模物件は、何も秘密で売られているわけではなく、オーストラリアの主要不動産サイトにはちゃんと宣伝されています。(もちろん、ネットで世界のどこからでも閲覧可能です)

日本のワンルームマンション投資の場合、キャッシュフローの兼ね合いで、一戸当たりの管理費、修繕費が抑えられる規模が比較的大きいマンションのほうが人気です。
概ね50戸以上はないと、取れる家賃に比べて、管理費や修繕費の負担が大きくなってしまいます。

一方、オーストラリアでは、大規模マンションではエレベータ、プール、ジムなどの付帯設備のコストがかかるため、大規模マンションのほうが維持管理費が高くなる傾向があります。特にエレベータの維持管理費は大きな割合を占めます。

このため、玄人の投資家は、低層の小規模物件を好みます。維持管理に係る保有コストをできるだけ抑えながら、キャピタルゲインの期が熟すのを待つというやり方です。

アジアの大都市で投資する場合は、セキュリティの兼ね合いで、外国人投資家向けの物件は、どうしても大規模マンションになると思います。キャピタルゲインを狙っての投資なら、大規模物件特有のリスクを織り込んでおくことが必要です。

周辺に同じような大規模マンションが次々に建設される可能性がある一方で、それを上回るほどの経済成長や住宅需要があるかということです。

融資に関して、オーストラリアでは、銀行は建物自体に万が一のことがあった場合のリスクを考慮し、同一マンション内での貸出し数を制限しています。このため、既に大勢の投資家が条件の良い銀行からローンを引いている場合、自分はその銀行からは借りられないリスクもあります。

また、銀行によっては、4階建て以上の建物への融資額を制限しているケースもあります(自分が購入するのは2階部分であっても制限を受けます)。

この場合は、頭金を3割入れるか、頭金を少なくしたいなら特別な手数料を支払う必要があります。銀行としては、過去のデータ・経験から、こうした規模の大きな開発案件のリスクを考慮しているということです。

2014/09/24

海外不動産の買ってはいけない物件-ワンルーム系

海外では外国人投資家向けの物件に、日本のワンルームのように狭い物件は通常ありません。
(アジアの大都市なら、あるにはありますが、借り手が貧困層等となり、賃貸管理の面で大いに不安があります)

海外にも、ワンルームに近いものとして、Studio(ステューディオ)と呼ばれる間取りがあります。
キッチン、リビング、ベッドルームが一続きの間取りです。このStudioでも、オーストラリアでは40㎡前後あります。

 ※日系業者では「スタジオ」と表記している場合がありますが、現地の人には通じません。

オーストラリアでは、基本的に内部の専有面積(バルコニー除く)で50㎡以上でないと、ローンを組めません。(一部銀行では40㎡あれば可のところもあるようです)

銀行が資金を貸さないということは、資産性、賃貸経営の面で、銀行としてはリスクがあると考えているということです。

ローンが組めないとなると、買うときは現金購入で、売るときも現金で買える人にしか売却できません。
しかも、ニューヨーク、ロンドンの超一等地ならいざしらず、Studioを自宅用に購入する人はほとんどいません。ということは、売却の対象は投資家に限られます。

物件自体の値上がりがそれほど見込めないとなると、買い手の投資家は家賃の利回りだけで判断するため、将来、高く売り抜けるのも困難です。

つまり、Studioは、比較的安価で購入できる反面、キャピタルゲイン狙いの投資には不向きな間取りです。

Studioタイプの賃貸需要に関しては、文化圏によると考えられます。

欧米文化の場合、学生やまだ稼ぎの少ない若い人は、年齢の近い親戚や友人などとシェアするのが普通です。例えば2LDKのマンションを借りて、ベッドルームはそれぞれ専用に使い、バス・トイレ、キッチン、リビングは共同で使います。

友人や知人を招いての食事会やパーティーを催す文化がありますので、やはりそれなりの広さのリビングがほしいということです。

Studioの場合、ベッドは置いてあるし、プライベートな小物は置いてあるしで、大勢の人を迎えるのは難しいのです。(友人の友人を自由に連れてきても構わないというスタイルが通常ですので、さすがに初めて会う人にベッドルームは見せられません)

金銭的にも、狭いStudioを一人で借りるよりも、2LDKを二人で折半して借りたほうが一人あたりの負担が安く済むことが多いことから、イギリスやオーストラリアではシェアが通常です。

2LDKにも、バスルームが1つのもの(たいてい築古)と、2つのものがあります。当然、後者のほうが物件価格も家賃も高いですが、シェアする場合の快適性も高くなります。この点は、物件価格、家賃水準との兼ね合いですので、どちらがよいかはケースバイケースです。

シェアの文化のない日本では、独身と言えばワンルームです。老若男女全ての層からの需要があります。

欧米文化圏では、Studioに住んでいるのは、独身で、シェアするよりも割高の家賃が払えるくらい稼いでいて、さらに他人との同居が嫌だという人に限られます。

もっとも、ある程度稼いでいる独身者は1LDKを選びますので、Studioを貸すためのターゲットは一層少なくなります。

Studioを借りるとすれば、都心に近い一等地で、本当は1LDKを借りたいけど手が出ないので、仕方なくStudioに住むというケースです。

一方で、2LDKの間取りなら、若い人のシェアにも対応でき、経済的に余裕のある若いカップルや、子供のいるファミリーにも幅広い層に対応できます。オーストラリアでは、マンションの間取りで最も割合が多いのが2LDKです。

2LDKの場合、将来の売却の際には、投資家に加えて自宅購入者もターゲットにでき、出口戦略も取りやすくなります。

なお、2LDKの中には、大学の近くなどの立地で、初めから学生がシェアすることを前提に作られた狭小2LDK(左右対称の小さなベッドルームが特徴)もあります。リビング、キッチンもかなり小さめです。

この場合は、2LDKといっても自宅用に購入する人はほとんどいませんので、将来の値上がり余地も限定されます。

1LDK、2LDKへの投資の場合、ワンルームに比べてサイズが大きくなるため、1件当たりの投資額がそれなりに大きくなります。
資産価値の上昇が期待されている地区(需要の強い地区)で、外国人投資家が購入できる新築の2LDKとなると、シドニーなら5000万円、ブリズベンなら4000万円が最低ラインでしょう。

さらに各都市の一等地で購入したいとなると、それぞれ1000万円~1500万円は上積みする必要があります。(1ドル=100円程度として)

海外で不動産に投資するにあたっては、独身者の人口が増えるというデータがあったとしても、独身者がどのような間取りを好むのか、文化的な背景も調べる必要があります。

少なくとも欧米文化圏(マンションをシェアして借りる慣習がある文化圏)では、資産性、賃貸のしやすさの観点から、Studio(ワンルームタイプ)はお勧めできません。

2014/09/23

海外不動産の買ってはいけない物件-コンドミニアム

週1、2回の掃除やゴミ捨てサービスが付帯している家具付きのマンションです。オーストラリアではServiced Apartmentと呼ばれています。

入居してすぐに生活を始められ、電気や水道などの利用申し込みも不要なため、現地に不慣れな人にとっては便利な居住形態です。

もっとも、公共料金込みで、サービスに付加価値が付いている分、自分でマンションを借りるのよりは割高です。それでも、フルサービスのホテルに泊まるのに比べれば、広い部屋に割安で滞在できます。

利用者は、比較的長く滞在する旅行者や、海外からの駐在員(途上国の場合)がほとんどです。

自分でマンションを借りるのに比べて割高になるため、地元の人は通常住んでいません。途上国に比べて治安や生活インフラの心配がない先進国では、駐在員でもこうしたタイプには住んでいないでしょう。

先進国の場合、借り手は旅行者、出張者になりますから、数日・週単位の契約など、基本的にテナント付けが不安定です。

また、都心に近いところでは、地元の人が住んでいるマンションの中に、一部、こうしたコンドミニアムとして短期滞在用に貸し出している部屋が混在しているケースもあります。

こうしたマンションに住んでいる知人がいますが、旅行者が多いため、(旅先で気分が高揚してか)夜遅くまで騒がしい、出入りしている人の素性が分からないなど、住民には評判が良くありません。

このため、自宅用に買いたいという地元の人の需要が少なくなります。オーストラリアの都市部では、住居購入者の6割が自宅用、4割が投資用ですが、後者の投資家しか売却の対象にできません。
さらに、投資家の中で、そもそもコンドミニアムを投資対象にしていない人は大勢います。

売却の対象が狭い上に、投資家は「価格を上積みしてでも、そこに住みたい」とは考えませんから、将来の値上がり(キャピタルゲイン)が狙いにくい物件となります。

また、地元の人があまり住まない、買わない物件となると、その地域の人口、GDPが成長しても、物件価格もそれに応じて伸びるとは限りません。

また、家賃収入に関しても、確かに取れる家賃額は通常のマンションより高いですが、短期滞在型の場合、ずっと満室ということはないこと、サービス運営会社のマネジメント料が通常の賃貸管理より高いことに注意が必要です。

また、観光産業に依存している地域の場合は、空室率や家賃が景気状況に大きく左右されます。景気が悪くなると旅行費が削られるためです。

都市部の駐在員滞在型の場合、家賃水準の関係で地元の人が借りられませんので、企業の進出・撤退状況に大きく左右されます。2008年のリーマンショックのころ、東京の六本木の高価格帯マンションが大苦戦したのと同じです。

投資対象国が先進国であれば、特定の産業に依存した地域で、あえてコンドミニアムを買う必要はないと考えます。

もちろん、自分が利用するためなら話は別ですが、この場合は、将来値段も上がればラッキーくらいの感覚で、投資と考えないほうがよいでしょう。

GDP、人口、物価が上昇している地域であれば、買った時よりも値段は上がるかもしれませんが、通常のマンションに投資する選択肢があるのなら、あえてコンドミニアムを狙う必要はないでしょう。

フィリピンなど途上国の場合は、まともな建物管理、賃貸管理ができ、ちゃんと家賃を払ってくれるテナントさんを見つけるには、駐在員対象のコンドミニアムくらいしかないこともあります。

現状、こうした国では、地元の経済的に余裕のある層は賃貸住宅になど住まないはずで、地元の賃貸マーケットが育ってくるには、長い時間がかかりそうです。

この場合は、コンドミニアムで将来の大化けに賭けてみるという手もあるかもしれません。
もっとも、現地の価格、家賃相場をしっかり把握したうえで、信頼できる賃貸管理の現地パートナーがいればということですが。特に後者が重要ですね。

ギャンブル性が高いということは認識したうえで、ポートフォリオの一つとして組み込むのは筆者も面白いと考えています。

株式投資で言えば、安定した大型株に、成長が期待される小型株、新興株を組み合わせる感覚です。もっとも、現地の都市開発や商慣習などの事情に詳しい方は別として、国内での不動産投資の経験もなく、途上国の物件に大きく賭けるのはお勧めできません。

人口、GDPの伸びが見込めるといっても、自分が購入した建物の耐久性能、管理・運営状況など個別のリスクもあるからです。

途上国の場合、街づくり自体も浮動的ですから、自分が購入した地区が10年後、20年後にどのような姿になっているか、見通しも大切です。

都市の成長に伴い、今の一等地が超一等地に、二等地が一等地に化ける可能性も秘めていることが面白いところでもあります。

もっとも、二等地は20年経っても二等地のままということもよくありますので、単なる「安物買い」にならないように都市開発の見極めが必要です。

例えば、万国共通で地区の価値を大きく変えるのは、電車の駅の新設です。街の規模が拡大するに従い、道路は渋滞し、都心部の駐車料金も高くなり、自動車での通勤が難しくなります。

シドニーやロンドンでは、中心部に車で乗り入れるだけで通行料金がかかります。このため、通勤に電車が使える地区の価値が高まってくるのです。