2014/09/24

海外不動産の買ってはいけない物件-ワンルーム系

海外では外国人投資家向けの物件に、日本のワンルームのように狭い物件は通常ありません。
(アジアの大都市なら、あるにはありますが、借り手が貧困層等となり、賃貸管理の面で大いに不安があります)

海外にも、ワンルームに近いものとして、Studio(ステューディオ)と呼ばれる間取りがあります。
キッチン、リビング、ベッドルームが一続きの間取りです。このStudioでも、オーストラリアでは40㎡前後あります。

 ※日系業者では「スタジオ」と表記している場合がありますが、現地の人には通じません。

オーストラリアでは、基本的に内部の専有面積(バルコニー除く)で50㎡以上でないと、ローンを組めません。(一部銀行では40㎡あれば可のところもあるようです)

銀行が資金を貸さないということは、資産性、賃貸経営の面で、銀行としてはリスクがあると考えているということです。

ローンが組めないとなると、買うときは現金購入で、売るときも現金で買える人にしか売却できません。
しかも、ニューヨーク、ロンドンの超一等地ならいざしらず、Studioを自宅用に購入する人はほとんどいません。ということは、売却の対象は投資家に限られます。

物件自体の値上がりがそれほど見込めないとなると、買い手の投資家は家賃の利回りだけで判断するため、将来、高く売り抜けるのも困難です。

つまり、Studioは、比較的安価で購入できる反面、キャピタルゲイン狙いの投資には不向きな間取りです。

Studioタイプの賃貸需要に関しては、文化圏によると考えられます。

欧米文化の場合、学生やまだ稼ぎの少ない若い人は、年齢の近い親戚や友人などとシェアするのが普通です。例えば2LDKのマンションを借りて、ベッドルームはそれぞれ専用に使い、バス・トイレ、キッチン、リビングは共同で使います。

友人や知人を招いての食事会やパーティーを催す文化がありますので、やはりそれなりの広さのリビングがほしいということです。

Studioの場合、ベッドは置いてあるし、プライベートな小物は置いてあるしで、大勢の人を迎えるのは難しいのです。(友人の友人を自由に連れてきても構わないというスタイルが通常ですので、さすがに初めて会う人にベッドルームは見せられません)

金銭的にも、狭いStudioを一人で借りるよりも、2LDKを二人で折半して借りたほうが一人あたりの負担が安く済むことが多いことから、イギリスやオーストラリアではシェアが通常です。

2LDKにも、バスルームが1つのもの(たいてい築古)と、2つのものがあります。当然、後者のほうが物件価格も家賃も高いですが、シェアする場合の快適性も高くなります。この点は、物件価格、家賃水準との兼ね合いですので、どちらがよいかはケースバイケースです。

シェアの文化のない日本では、独身と言えばワンルームです。老若男女全ての層からの需要があります。

欧米文化圏では、Studioに住んでいるのは、独身で、シェアするよりも割高の家賃が払えるくらい稼いでいて、さらに他人との同居が嫌だという人に限られます。

もっとも、ある程度稼いでいる独身者は1LDKを選びますので、Studioを貸すためのターゲットは一層少なくなります。

Studioを借りるとすれば、都心に近い一等地で、本当は1LDKを借りたいけど手が出ないので、仕方なくStudioに住むというケースです。

一方で、2LDKの間取りなら、若い人のシェアにも対応でき、経済的に余裕のある若いカップルや、子供のいるファミリーにも幅広い層に対応できます。オーストラリアでは、マンションの間取りで最も割合が多いのが2LDKです。

2LDKの場合、将来の売却の際には、投資家に加えて自宅購入者もターゲットにでき、出口戦略も取りやすくなります。

なお、2LDKの中には、大学の近くなどの立地で、初めから学生がシェアすることを前提に作られた狭小2LDK(左右対称の小さなベッドルームが特徴)もあります。リビング、キッチンもかなり小さめです。

この場合は、2LDKといっても自宅用に購入する人はほとんどいませんので、将来の値上がり余地も限定されます。

1LDK、2LDKへの投資の場合、ワンルームに比べてサイズが大きくなるため、1件当たりの投資額がそれなりに大きくなります。
資産価値の上昇が期待されている地区(需要の強い地区)で、外国人投資家が購入できる新築の2LDKとなると、シドニーなら5000万円、ブリズベンなら4000万円が最低ラインでしょう。

さらに各都市の一等地で購入したいとなると、それぞれ1000万円~1500万円は上積みする必要があります。(1ドル=100円程度として)

海外で不動産に投資するにあたっては、独身者の人口が増えるというデータがあったとしても、独身者がどのような間取りを好むのか、文化的な背景も調べる必要があります。

少なくとも欧米文化圏(マンションをシェアして借りる慣習がある文化圏)では、資産性、賃貸のしやすさの観点から、Studio(ワンルームタイプ)はお勧めできません。

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