筆者のオーストラリア不動産投資の師匠、マイケル・ヤードニー氏は以下のように述べています。
「これから不動産投資で成功するには、カフェ文化がカギになる。」
伝統的には、オーストラリアでは、都心のマンションよりも、緑豊かな郊外の一戸建てが好まれていました。
600㎡くらいの敷地で、裏庭で子供たちがクリケットをして遊べるくらいのサイズです。
今でも、こうした戸建て・敷地のパッケージは売られていますが、都市人口の拡大した今では、庶民に手が届く価格帯となると、通勤にはかなり時間のかかるエリアとなります。
近年では、オーストラリアの若い年齢層では、庭付きの戸建てにそれほどこだわらなくなってきました。
マンションで良いので、歩いていける距離におしゃれなカフェやレストラン、スーパー、大きな公園がある立地が好まれるようになっています。
通勤に便利な駅やバス停まで住居から歩いていけることも重要なポイントです。
30代~40代以下の経済的に余裕のある専門職層は、こうした都心に近く利便性の高い立地を好みます。(大都市のこういう立地で戸建てだと最低でも1億円になり、さすがに手が出る人は少ないため、マンションを選択となります)
近年では、50代~60代以降の子育てが終わった層でも、戸建て住宅を売却して、店舗や病院などが近い便利な立地のマンションに移るケースも増えています。マンションだと庭や建物の手入れを自分でしなくてよい、セキュリティも安心ということもあるようです。
経済的に余裕のある層が追加料金を払ってでも住みたいと考える地区では、中長期的に物件価格や家賃が上昇していきます。その中でも新規供給が少ないエリアでは、高所得層が競いあって値を上げます。
経済的なゆとりがあることで外食の需要が多いため、おしゃれなカフェやレストランが周辺にでき、ますます富裕層好みの街並みになっていきます。
以下の写真はブリズベンの例です。
以下の写真はブリズベンの例です。
高所得層好みの住宅街(都心まで2km)
(左手にバス停、地元で人気のカフェが見える)
高所得層好みの閑静な住宅街のストリート
(都心まで3km)
(都心まで3km)
一方で、価格や家賃が安いからという理由で人が住んでいる地区では、価格を上昇させるドライバーがあまりありません。
今後10年、20年のスパンで、「経済的に余裕のある層が、どこに住みたいだろうか」と考えることが、エリア選定の鍵です。
シドニーの物件価格は、この20年間で平均約300%の上昇(価格は4倍)となりました。
この300%というのは都市全体の平均値ですが、地区によって上昇幅は200%から400%と差が付いています。
成長が低かった地区でも価格が3倍になっていますから、これでも十分と感じるかもしれません。
それでも、20年前に5000万円を投じて物件を購入したとして、ある地区で購入していれば今、1億5千万円の価値、別の地区なら2億5千万円の価値と、1億円も開きが出ています。
20年前には同水準の一等地と評価されていた地区でも、ライフスタイル、志向の変化で、現在、準一等地に下がってしまった地区もあれば、超一等地に昇格した地区もあります。
このように、地区の選定によって、将来の資産状況は大きく変わる可能性があります。
今、いい地区だと言われているところが、10年後、20年後もその地位を保てそうか、今よりも希少性を増していそうかを検証したうえで投資しなければいけません。
オーストラリアに限りませんが、将来人口が増えるから、GDPが増えるから、街のどこに投資してもいいかというと、そんなことはありません。立地によって、将来の上昇幅に必ず差がつきます。
海外からの投資だと、現地のトレンドを把握しにくいこともあります。
物件の仲介業者自身が自分でも投資しているタイプであれば、関心を持ってトレンドをフォローしているでしょうが、単に仕事で不動産を売っているだけなら(しかも外国人だけを相手に)、あまり関心がないかもしれません。
長く業界にいるなら、かえって昔の常識のままで商売を続けている可能性もあります。「地元の人はこういう物件が好みですよ」と悪気なく古い情報を伝えている可能性もありますので、注意が必要です。
投資家が自分で調べるのがベストですが、言葉の関係で難しいなら、物件を薦める業者が自分でも不動産に投資しているか、自分も近年物件を購入しているかが目安になるでしょう。
自ら投資経験のある業者であれば、地元のプロとして、どういう視点で物件を選んでいるのか有益な情報を持っているはずです。逆に、こうした情報を提供できない人の言うことは、鵜呑みにしてはいけません。
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