2015/01/07

外国人投資家が多い物件はリスクが高い

「外国人投資家が多い物件の購入は避けるべき」というニュース記事がありましたので紹介します。オーストラリアで債権回収企業を長年経営している弁護士による見解です。

オーナーのうち投資家の割合が5割を超える物件、中でも外国人投資家の割合が高い物件は、リスクが高いため避けるべきと述べています。

投資家の割合が高い物件は、景気が悪くなると換金売りが出やすく価格が不安定になりがちという点に加え、殊に海外在住の投資家が多い場合は管理費・修繕積立金の滞納に対処するのが困難という理由です。

‐ 個人的な経済事情で支払いが困難になる
‐ 投資として上手くいっていないので、(心情的に)支払いたくない
という理由で管理費・修繕積立金を払わなくなったオーナーがいる場合、海外在住者に督促を続けるのも大変ですが、コストを考えれば裁判を起こして強制的に徴収するのも事実上不可能ということです。

結局は、ほかのオーナーが追加的に経費を支払うか、維持管理の質を下げるしかありません。おそらくは後者の道が選ばれ、建物の価値は下がっていくこととなります。屋根から水漏れしても、修繕積立金もないし、誰も経費を負担しないので放置ということもあるかもしれません。

管理費の滞納が多く、修繕積立金も貯まっていない物件を敢えて買いたい人はいませんから、売却するにも相応に安くしないと買い手がつきません。また、他のオーナーも同じように見切り売りを始めると、ますます安値でしか売れなくなります。

所有者の大多数が投資家の物件、特に海外投資家の多い物件では、十分に考えられるシナリオです。

日本のマンションで日本人オーナーどうしですら、管理費の滞納はよくある話ですし、簡単に解決はできません。それでも滞納者がごく少数で、数十万円程度の額であれば、最終的には滞納者の物件が売却される際に関係者の間で精算されることになるでしょう。

しかし、オーナーの多くが海外在住で、自分も払いたくないというオーナーが続出すれば、いずれはゴースト・マンションになってしまいます。

アメリカのサブプライムローン問題でも実際に起こったことですが、ノン・リコースローンで、債務超過の状態であれば、オーナーが物件を放棄しても不思議ではありません。

どういう物件が海外投資家の割合が多いかですが、特に都心部のタワーマンションなど、大規模マンションはそうである可能性が高いです。それくらいの規模の開発案件でないと、海外でのPRなど宣伝費をかけられません。逆に、こうした大規模物件は海外投資家の目にも留まりやすく、結果的に外国人投資家の比率が高くなりがちです。

「海外の投資家も買っているから安心」なのではなく、むしろ中長期的にはリスクが高いと見るべきです。

堅実な投資家のための対策としては、外国人投資家向けのサイトではなく、地元の実需層・投資家が見ているサイト(日本で言えばHOME’Sのような不動産情報サイト)で、比較的小規模な案件を自分で見つけるか、こういう案件を探しているのであったら教えてほしいと指定して業者に頼んでおくのが最善と考えます。

大規模なマンション(概ね50戸を超えるもの)は、賃貸、売却の際の競合が増えること、都市計画の関係で周辺にも大規模マンションが建ちやすいことからも、オーストラリアでは投資として望ましくないと考える人が大勢います。

立地や景観の面で、すぐ近くに立っているマンションとも差別化ができるというなら別です。また、総戸数50戸といっても、全てが同じような間取りなのか、1LDKから3LDKまでバランスよく分散されている(実質的な競合が少ない)のかでも状況は異なります。キャピタルゲイン(それから家賃の値上がり)を考えるなら、「希少性」がキーワードです。

小規模開発案件は特段のPRをしていないこともありますが、外国人投資家に売るつもりがないわけではなく、予算の都合でそこまで大々的な宣伝をしていないだけです。
物件数が少ないので、地元の投資家・自宅購入者だけでも売りさばけるという判断もあるでしょう。ディベロッパーとしては、買ってくれるなら地元住民でも海外投資家でも構わないのです。

日本から投資する場合は自分も「外国人投資家」ですから皮肉なことですが、投資を成功させるためには、外国人投資家に人気の物件は避けたほうがよいということです。

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