マーケットの政策金利の織り込み状況によると、2015年中に0.5%(0.25%を2回)の利下げが行われると予想されています。以下の表を見ると、わずか数か前の10月時点と比べても金利予想レンジが低下したことが分かります。
Source: petewargent.blogspot.com
従来は2015年後半から2016年初の利上げが予想されていましたが、新たな見通しでは現状の2.5%よりも下がりますから、ローンを組んで不動産を購入するには良い環境が続きそうです。一旦利下げが行われた後、今度は現行の2.5%を超える水準への利上げは随分先となるでしょう。
今のところ、銀行の融資姿勢も厳しくなる気配はありませんから、単純に金利低下で住宅購入意欲を下支えしそうです。
オーストラリアの住宅ローン金利は、現在、4.5%から5%前後が主流です。自宅用でも投資用でも基本的に金利は変わりません。日本と比べ、見た目の金利は高いですが、物価上昇率2~3%を加味すれば、投資用の実質金利はほとんど同じと考えます。日本でもワンルーム投資で3%少々、一棟もので2%台の金利が普通です。
オーストラリアでは自宅用と投資用の金利は基本的に変わりません。元銀行員でローンの仲介業(mortgage broker)に転じた方から、一昔前までは、日本と同様、自宅用のほうが金利が低かったと聞きました。現在では、銀行から見て、自宅用でも投資用でも返済が滞るリスクは同じと見ているということでしょう。
この2年間でシドニーの住宅価格は約30%上昇と、政府はこの点は気にしている様子ですが、他都市ではそれほどの上昇ではなかったこと、住宅投資を抑制すると建設業界にも影響することから、政府や中央銀行としても無理に不動産価格の上昇を抑える手段(ニュージーランドで導入されたような融資規制等)を取ることは当面なさそうです。
オーストラリアの景気状況は、豪ドル相場の下落である程度は下支えされていますが、中国の需要減、資源価格の低下が響き、勢いはありません。
不景気というほどではないものの、失業率も高めで推移しています。金利カットが結果的に不動産価格のさらなる上昇につながったとしても、止むを得ないとの判断でしょう。
もっとも、シドニーの不動産価格上昇は、2014年後半ごろから既にスピードダウンしており、仮に金利が低下しても、どんどん上昇を続ける状況ではなくなっています。当面値上がり自体は続きそうですが、最近の年10%、15%というペースではなくなりそうです。
2014年の物価上昇率も1.8%と、中央銀行のターゲット2.0~3.0%を下回っています。この点も、中央銀行が躊躇なく利下げすると考えられている要因になっています。
不動産マーケットにとっては、金利の低下でシドニーのソフトランディング、出遅れていたブリスベンのキャッチアップに貢献しそうです。一方で、投資家としては、特にシドニーは(当面は上昇が続くとしても)今回のサイクルでのピークに近いということに留意が必要です。
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