豪政府の統計局によると、オーストラリアの人口は2050年には3,760万人に、2101年には5,360万人に増加と予想されています。2012年時点の2,270万人と比べて、2050年までに65%、2101年までに136%の増加です。
Source: Financial Review
赤線が直近の推計値。
過去の推計値から上方修正されている。
これは、現在の傾向がこのまま将来も続いたらという前提に基づく中位推計(標準的なシナリオ)です。
2003年当時に行われた推計と比べて、将来の予想人口が大幅に上昇していますが、これは移民の増加が大きく影響しています。近年は年40万人程度の移民が流入しており、政府の推計はこの点を織り込んだものです。
もっとも、将来は政府の移民政策も変わる可能性が十分ありますので、今回の推計より下振れする可能性はあります。ただし、オーストラリアの出生率が1.9~2.0であることから、多少移民の流入が制限されても、人口が増える傾向は変わらないと考えられます
一方、日本では、国立社会保障・人口問題研究所の中位推計によると、2012年の1億2,750万人から2050年には9,700万人へ23%の減少と予測されています。
では、人口の増加が続くオーストラリアでどこに投資するかですが、2050年の主要都市の人口予想は以下のとおりです。
Source: Financial Review
ブリスベン、パースの人口の伸びが顕著ですが、シドニー、メルボルンも着実な人口増加が見込まれています。それぞれ2050年には別物の都市と言えるくらい規模が拡大しています。
途上国で政府の新都市開発を前提とした投資案件もありますが、政権交代や財政難で計画が白紙になったり、大幅に遅延もありえます。新都市開発案件に投資する場合は、この点のリスクを負っているということです。
それに見合ったリターンがあるなら考慮に値しますが、プロジェクトが成功するのを織り込んだ価格で購入したのでは、ハイリスク・ローリターンです。
オーストラリアでは、政府が特段の策を講じなくても、現状の状態が続くだけでこれだけ人口が増えるのですから、将来見通しの信頼性が高いと言えます。
2050年は35年後ですから、ずいぶん先の話のようにも感じられます。もっとも、自分がこれから物件を10年間保有し、2025年に売却する場合、その時の買い手は2050年頃の状況も念頭に置いて投資判断をするでしょう。まだまだ伸びそうだという状況でないと、高くは買ってもらえません。
人口の伸びに着目するならパースですが、資源関連産業の比重が高いため、浮き沈みの激しい面も持っています。資源関連の低迷が長引いた場合は、雇用にも影響するでしょうから、人口の流入も鈍化するかもしれません。
次いで伸び率の高いブリスベンは、鉱業、観光業、サービス業と軸となる産業がある程度分散されており、パースと比べれば安定性があります。もっとも、これから伸びる都市だけに、周辺部には未開発の土地もまだたくさん残っています。多くの人が住みたいと考えるエリアの中で、新規の住宅供給が限られる地区を選定することが肝要です。
シドニー、メルボルンは人口の伸びではやや劣るものの、大都市だけに多様な産業に支えられ、金融業や法律・会計サービスなど高付加価値産業が他都市よりも強く、住民の平均所得も他都市より高くなっています。高所得層が好むエリアや所得が伸びているエリア(かつ新規供給が限られるエリア)を選定することがカギとなるでしょう。
なお、この2年間はシドニーが住宅価格の上昇をリードしてきましたが、その前はメルボルン、その前はパース、さらに遡るとブリスベンと、価格上昇の主役となる都市は変わってきました。
長期的に見てどの都市へ投資するのが一番良いかは事前には分かりませんから、自分が買いやすい都市の中で、望ましい地区を特定するのがよいでしょう。
あとは価格のピーク時期に慌てて買わず、底値圏で買うように努めるということです。もっとも、ピンポイントで時期を当てようとすると、好機も逃すおそれがありますので、だいたいで良いという割り切りも必要です。
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