2014/12/22

オーストラリア不動産の価格上昇がスローダウン

不動産取引データを提供しているCoreLogicが公表したデータによると、オーストラリア不動産の値上がりペースに減速感が見られます。(2014年10月末時点)


これは、2015年、2016年と価格の上昇速度が減速していくとの複数の専門家の見立てと一致するものです。

もっとも、グラフはオーストラリアの大都市全体の姿を表したもので、取引ボリュームの大きいシドニー、メルボルンの価格変動が大きく影響しています。
全ての都市が、同じ動きをしているわけではありませんが、全体の傾向は読み取ることができます。

例えば、ブリスベンの上昇サイクルのピークはこれからと言われていますが、国全体での不動産投資が減速していく中では、今後、ブリスベンだけが年10%、15%を超えるスピードで上昇することはないでしょう。

外部環境にも左右されますが、近年の値動きをグラフで見ると、今後、2016年から2018年にかけてのボトムの時期には、5%程度のマイナスになることも考えられます。

マイナスの度合いも、投資家の選好度や地域経済の底堅さによりますので、マイナス圏に突入する都市もあれば、ボトムでも成長がゼロになるだけ(値下がりはしない)の都市に分かれるでしょう。

もっとも、オーストラリアでは政府の物価上昇率ターゲットを2%~3%に据えており、概ねこの範囲で推移しています。したがって、値上がりがゼロというのは、物価上昇分だけ実質的には値下がりしているとも言えます。

あくまでも過去のデータではありますが、グラフのとおり、値下がり局面でも、1~2年間で、年5%程度の下落です。今後、値下がりの可能性はありますが、あえて底値を待つというほどの下落にはならない可能性もあります。

現状での価格の値ごろ感や今後の値上がり見込みを考慮すれば、短期的にも少しでも損はしたくないという投資家の場合は今が絶好のチャンスとは言えませんが、長期的な視点で、海外への資産分散なども考慮しての投資であれば、あえて底値を狙う必要もないでしょう。

つまり、無理をしてでも参入すべき時期とは言えませんが、資金、情報などの準備が既に整っていて、海外での資産分散の必要性もあるのであれば、(来るかどうか分からない)底値を敢えて待つ必要もないだろうということです。もちろん、今後の値下がりリスクが少ない地区で、適切な物件を選別することが前提です。

オーストラリアの物価、人口、GDPは上昇を続けています。都市や地区によっては、2004年から2005年にかけての事例のように、物価上昇分程度は上がり続け、「底値」が来ない可能性があります。

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