日本の賃貸メリット
・賃借人の保護が手厚い
(よほどのことがなければ意に反して追い出されない。期間更新が原則
一方、賃借人側からは、事前の申し出で、契約期間中でも退去可能)
・中長期で、家賃は低下傾向
日本の自宅所有デメリット
・住宅価格は低下傾向(都心の一部を除く)
・ローン金額が現在の住宅価格水準で確定
(例えば、将来3千万円の価値に下がるかもしれない物件を買うために、今、4千万円のローンを組む必要がある)
オーストラリアの自宅所有メリット
・中長期で、住宅価格は上昇傾向
・ローン残債の重みは、物価上昇とともに実質的に目減り(その分、ローン金利が高いので、効果はある程度相殺されますが)
・中古市場が厚く、売却も容易(ただし、雇用者数の伸びている都市部)
オーストラリアの賃貸デメリット
・賃借人の保護が薄い(居住が保証されるのは、あくまでも契約期間のみ。更新の保証なし
契約期間中に自己都合で退去の場合は、空室期間の家賃を補てんする義務あり)
・家賃は上昇傾向
資産運用コンサルタントの内藤忍氏の言うように、日本での自宅所有は「趣味」と捉える必要があろうかと思います。いわば高級外車を購入するようなもので、損得ではなく、精神的な満足感の話ということです。
一方、オーストラリアで賃貸住まいを続けるのは、特に老後は、かなり不安定な立場に追いやられることとなりそうです。
現行制度では、契約期間(通常、半年~1年単位)が終わるのを機に、大家が自分で住みたい(子どもに住ませたい)から退去してほしい、リノベーションでバリューアップしたいから退去してほしいという要求を拒むことはできません。
また、大家が当該物件を売却した場合、買い手も投資家であれば問題ありませんが、買い手が自分で住みたいと言うケースもありえます。
住宅ローン金利が4~4.5%のオーストラリアでは、目先のキャッシュフローだけを見れば賃貸のほうが有利です。
一方、賃貸に住む限り、住宅の値上がり益を享受することはできません。老後に向けた資産形成の点では、賃貸に住む場合は手元に残った資金を株などに投資し、住宅とは別の形で資産形成を行うことが不可欠と言われています。(想定利回りの点で、貯蓄だけでは追いつかないでしょう)
住宅ローンを組んでいる人に比べて、当面の余裕資金は多くなりますが、これを投資(資産形成)に回さず使ってしまった場合は、老後が大変になるという点で専門家の意見は一致しています。
現状のオーストラリアの年金制度は、一般に老後を迎えるころには自宅を所有している(残債もゼロ)という伝統的なライフスタイルを前提に設計されています。年金から家賃を支払うことは基本的に想定されていません。
現状では、以下のように、55歳以上の年齢層では、8割以上が自宅を所有しており(残債なしは6割少々)、賃貸住まいは15%ほどです。
若い世代ほど自宅の所有率は低く(賃貸率は高く)なっています。
Source: propertyupdate.com.au
現役時代に住宅を購入しなかった場合は、老後を過ごすための自宅を現金一括で購入できる資金、あるいは、年金+金融資産等からの収入で、問題なく家賃を払い続けられる状況を整えておく必要があります。
これができなかった場合、その個人の年金原資(オーストラリアは確定拠出型)を取り崩し、それが尽きた時点で高齢者向けの生活保護を受給することとなります。ゆとりある老後を送ることは困難です。
住宅を購入した場合は、ローンの返済という形で、いわば強制的に貯蓄(および不動産投資)をしているようなものと言われています。
確かに、いくら住宅価値が上がっても、自宅に住み続ける限り収入は生みません。ただし、中古住宅市場が大きいオーストラリアでは、売却することで、まとまった老後資金を手にすることもできます(全期間、自己使用の場合は、譲渡所得税は非課税)。売却で得た資金の一部で、小ぶりなマンションに住み替え、残りを老後資金に充てることも可能です。
オーストラリアの平均的な世帯の資産構成は以下のとおりです。不動産が半分強を占めています。これは二十数年前からあまり変わっていません。
ほかに株式が7.2%、年金基金が21.7%、その他(現預金、国債など)が19.4%です。
Source: propertyupdate.com.au
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