2015/12/09

オーストラリア不動産の買いやすさ

シドニーを中心に、近年の住宅価格の高騰が報じられているところです。

オーストラリア主要都市の平均値ですが、頭金が貯まるまでの期間、住宅ローン返済や家賃支払いの負担感の推移を示したのが以下のグラフです。

Source: propertyupdate.com.au

まず。グラフの赤線(右軸)です。住宅価格の20%の頭金を貯めるために、平均的な可処分所得の世帯で、約7年かかることが示されています。

これは過去20数年間で見ても最も長い期間ですが、所得の伸び以上に、住宅価格が高騰したことが示唆されています。

一方、グラフの青線(左軸)、ローン返済の負担については、可処分所得のうち26~27%となっています(頭金2割、ローン8割を前提)。これは過去と比べても平均的な数値です。
住宅価格は高騰したものの、住宅ローン(不動産投資ローン)金利が4~4.5%と、オーストラリアとしては過去最低水準にあることが要因です。

2008年頃は返済比率が35%を超えていますが、当時のローン金利は8~9%という水準でした。(その代わり、定期預金でも6~7%くらいの利息が付いていましたが)

住宅価格の高騰で、2割の頭金を用意するためのハードルは上がりましたが、ローン金利の低下で、月々の返済自体はそれほど苦しくないというのが現状です。

若い人にとっては頭金を用意し不動産マーケットに参入するのが大変ですが、既に購入を済ませた層にとっては、金利が急騰しない限り、ローン破綻が増えることはなさそうです。

現行水準の金利が続く限り、オーストラリアの不動産マーケットが崩壊するリスクもまずないと言えます(シドニーでは調整局面があるかもしれません)。
ローン返済を続けられるのであれば、あえて安値で投げ売りする必要もないわけです。

なお、変動金利と固定金利のどちらを選択するかについては、難しいところです。後で振り返ってみれば、間違った選択をする人が多いと言われています。

近年では、最も金利の高かった2008年ごろが、固定金利を選んだ人の割合が最も高かったそうです。金利はさらに上がるに違いない、さらに上がったら大変、と考える人が多かったと聞きます。

一方、歴史的な低金利の現在、固定金利を選択する人はかなり減っていると聞きます。さらに下がる可能性が高いというのが理由のようです。

株式市場で、ピークで買って、底値で売ってしまう人が多いのと似ている気がします。

なお、「これから金利が上がる」と一般に知れ渡るころには、既に金融機関は固定金利を引き上げているはずで、金利が上がりそうになったら固定金利に切り替える、という戦術はあまり上手くいきそうにありません。

固定金利を選択し、その後に変動金利がさらに下がれば、悔しい思いをするかもしれません。もっとも、現行の固定金利でそれなりに満足できるのであれば、安心のための保険料を支払ったと考えて、変動金利より高めの金利でも良しとするのもアリだと思います。

また、グラフの濃い青線(左軸)は、家賃支払いの負担を示しています。現在、可処分所得の21%程度です。自宅を購入しローン返済をするのに比べて、5%程度負担が軽いことが分かります。

その代わり、住宅のキャピタルゲインやローン元本の目減りを享受することはできません。賃貸の場合は、その浮いた5%分で、年金基金の積み立てを増やす、株に投資する、投資用不動産を買うなど、資産形成を行う必要があると言われています。

手元資金に余裕があるからと生活水準を上げてしまうと、大変な老後が待っているとよく言われているところです。

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