「オーストラリアも先進国だから、これから人口が減っていくんでしょう」と日本から来た方に言われることがあります。実際には、毎年1.5%前後、人口が増え続ける見込みです。
以下は、国連の人口予測データを基に作成したグラフです。
それぞれ、中位推計(最も穏当なシナリオによる推計)の数値を採用しています。各国の2010年時点の人口を100として、2020年、2050年、2100年のデータをグラフ化しました。
先進国グループ
Source: 国連 人口部
先進国の中では、英米系の国が上位に位置しています。出生率が比較的高いことに加えて、移民の流入が続くことが要因とされています。
これから先進国の間で高技能移民の獲得競争が熾烈になるにつれて、英語で生活・仕事ができること、高等教育機関が充実していること、豊かな住環境、自然環境の観点で、英語圏先進国は有利な立場にあります。
ヨーロッパ諸国でも、イギリスとドイツでは長期的に明暗を分けそうです。
もっとも、上記のデータは中位推計ですので、政府が思い切った移民政策を採用するなど、シナリオが変われば別の結論となる可能性があります。
次に、以下のグラフは、主要な新興国に、比較としてオーストラリアを加えたものです。
新興国グループ1
Source: 国連 人口部
ナイジェリアの伸びがあまりにも顕著です。
もっとも、いくらポテンシャルがあるとはいえ、商社はともかく、現時点では個人レベルでナイジェリア不動産に投資というのはハードルが高すぎます。
我々も不動産投資ではありませんが、ビジネスへの投資の観点で、アフリカの人口増、経済規模の成長を享受する方策を検討しています。
上記グラフでは他国の違いがよく分かりません。そこで、ナイジェリアを除いたグラフを以下に掲載します。
新興国グループ2
Source: 国連 人口部
人口の伸びに関しては、中長期的にフィリピンが有望株です。もっとも、オーストラリアも先進国ながら、フィリピンとそれほど遜色ありません。
マレーシアも2050年頃までは高い伸びとなりそうです。一方、マレーシアでの不動産投資に関しては、保有期間に注意する必要があるかもしれません。
中長期的な成長に賭けて投資するのだとすると、10年、15年といったスパンで保有することになると思います。2015年に購入するなら、2030年頃の売却を視野に入れるというスタンスです。
そのとき、将来の買い手もさらに10年先、15年先の2040~2045年頃の状況も視野に入れて検討すると思います。
まだ随分先の話ですが、将来は低成長を前提とした値段しか付かないかもしれません。
タイは、当面は横ばいですが、2100年までの長期で見ると、日本、ドイツといった高齢化社会の先進国と変わらない水準と予測されています。
中長期的な視点で安定投資を考えるなら、やはり人口が伸びている国や地域を選ぶのが穏当な選択と考えます。
日本では空き家の増加が問題になっていますが、不動産は取り壊すにもコストがかかり、人口が減少する国では需要と供給をバランスさせるのは容易ではありません。
国レベルで人口が増加しても、自分が行った特定の投資が上手くいく保証はありません。しかし、昇りのエスカレーターに乗っているほうが、上手くいったときの利益も大きく、失敗したときも市場全体の上昇で中長期的にはカバーされると考えられます。
一方、下りのエスカレーターに乗っても、利益を上げることは可能と思いますが、ピンポイントで優良地区、投資に適した時期を選別することが必要となるのではないでしょうか。
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