日本でも不透明さが指摘されることもある不動産取引の世界ですが、海外での不動産投資となると、誰が味方で、誰が敵か、把握することはさらに重要です。過度に信頼して痛手を負ったり、騙されたりしないために、海外不動産投資のキー・プレーヤーを紹介します。
以下は一般に海外不動産投資で登場するプレーヤーです。
・不動産仲介業者
・弁護士(ソリシター)
・住宅診断士(ビルディング・インスペクター)
・住宅投資ローン仲介業者(モーゲージ・ブローカー)
本記事では、弁護士(ソリシター)の役割について紹介します。英国文化圏の場合は、法廷に立つ弁護士(バリスター)と、契約など事務手続きが中心の弁護士(ソリシター)に分かれます。
不動産取引に関与するのはソリシターのほうです。日本で言えば、弁護士と司法書士の中間形態といったところでしょうか。
第一の役割は、契約書の内容のチェックです。
基本的に、売り手の仲介業者が契約書の原案を作成します。オーストラリアの場合、標準的な契約書のひな形は州によって決まっていますが(州法が異なるため)、諸条件などをある程度カスタマイズすることは可能です。
当然ながら、売り手の代理人が作成した契約原案ですので、売り手有利に、少なくとも売り手が不利にならないように作成されています。
例えば、最初に頭金(deposit)を支払う期日とその金額、融資特約など買い手が契約を解除できる条件、契約後、引き渡し前に発生した建物被害をどちら側の負担とするか、などです。
これらの諸条件について、まずは買い手が絶対に譲れない線をしっかり契約内容に盛り込み、さらに他の条件についても、過度に買い手が不利にならない(標準的な)内容に修正する必要があります。
これは必ず、契約書にサインする前に行わなくてはいけません。一旦サインしてしまうと、契約書に書かれていることが全てです。読んでいなかった、理解していなかったという言い分は通りません。
最初に頭金を振り込む期日については、契約日の翌日などとなっているケースもありますが、急用があって実行できなかったとか、曜日をちゃんと確認していなくて振り込みが実行できないなど、思わぬ失敗が起こりがちと言われています。
日付が空欄のままサインし、相手が後で記載した期日を知らなかったということもありえます。
契約書に記載されている期日までに入金を完了しなかった以上、買い手側の債務不履行責任が発生します。普通なら1日くらい待ってくれるでしょうが、売り手側に何か思惑があれば、違約金を請求される、買い手側から解除する権利を失うなど、不利な立場に追い込まれる可能性があります。
自分サイドにも弁護士を立てていれば、こうした細かなところにも目を配り、妥当な内容に契約書を修正してもらうことができます。
弁護士を雇わずに自分で手続きを行う場合、売り手側の弁護士に「これが通常の内容です」と言われたら、反論できないのではないでしょうか。
第二の役割は、所有権の移転手続きです。この点は、日本の司法書士の役割と似ています。
所有権移転登記は、特に海外では自分で行うことは事実上不可能でしょう。また、銀行からローンを借りて抵当権を設定する場合は、銀行からしかるべき弁護士を通して手続きするよう要求されるはずです。
また、自分サイドに弁護士を立てれば、契約の相手が真正の所有者かどうか調査してくれますので安心です。
また、物件の管理組合総会の議事録なども弁護士を通じて入手してもらえますので、建物に何か問題が発生していないかなどもチェックしやすくなります。
さらに、オーストラリアでは、印紙税・不動産取得税に相当する税金も、この弁護士を通じて納付するのが通常です。納税額は不動産の売買価格に応じて決まるため、契約書の写しをはじめ、諸々の証拠資料を提出する必要があるからです。
以上の契約書のチェック、各種調査等をすべて弁護士(ソリシター)に委託した場合、オーストラリアでは15~20万円程度かかります。
不利な契約を結ばされないように、また、確実に自分に所有権を移転するために、これは必要経費として織り込んでおく必要があります。
なお、大型開発物件などで、「弁護士もこちらで用意するので手間いらず」というものを見かけることがあります。
売り手サイドに仕事を紹介してもらった弁護士が、買い手のために全力を尽くせるとは通常考えられません。これで弁護士費用まで買い手が負担させられてはたまりません。
我々の場合は、売り手とは関係のないローン仲介業者(モーゲージ・ブローカー)に複数の弁護士事務所を紹介してもらい、サービスの内容や評判を調べ、見積もりをもらって委託先を決定しています。
買い手側の仲介業者(バイヤーズ・エージェント)を雇う場合は、こちらに紹介してもらうのもよいでしょう。
オーストラリアの場合、大都市には日本人の弁護士もいます。仲介業者からの紹介では不安だという場合は、まずはインターネットで調べ、委託内容や費用などを相談してみてはいかがでしょうか。
日本人弁護士のいる事務所は数は多くありませんので、その中からさらに選びたいということであれば、物件の申し込みを入れる前に、概ねの委託内容や費用を問い合わせておくとよいでしょう。
申し込みから契約書サインまでは時間に追われることもあります。弁護士が決まらないからと時間が経過してしまうと、競合者に物件を取られるかもしれません。
なお、州によって法律や取引慣習が異なりますので、物件を購入する州で開業している事務所に委託することをお勧めします。
不動産取引は金額も大きく、株のように簡単に損切りすることもできません。15~20万円程度の金額は保険料だと思って、しっかり自分側の弁護士を立てるべきだと考えます。
本記事では、弁護士(ソリシター)の役割について紹介します。英国文化圏の場合は、法廷に立つ弁護士(バリスター)と、契約など事務手続きが中心の弁護士(ソリシター)に分かれます。
不動産取引に関与するのはソリシターのほうです。日本で言えば、弁護士と司法書士の中間形態といったところでしょうか。
第一の役割は、契約書の内容のチェックです。
基本的に、売り手の仲介業者が契約書の原案を作成します。オーストラリアの場合、標準的な契約書のひな形は州によって決まっていますが(州法が異なるため)、諸条件などをある程度カスタマイズすることは可能です。
当然ながら、売り手の代理人が作成した契約原案ですので、売り手有利に、少なくとも売り手が不利にならないように作成されています。
例えば、最初に頭金(deposit)を支払う期日とその金額、融資特約など買い手が契約を解除できる条件、契約後、引き渡し前に発生した建物被害をどちら側の負担とするか、などです。
これらの諸条件について、まずは買い手が絶対に譲れない線をしっかり契約内容に盛り込み、さらに他の条件についても、過度に買い手が不利にならない(標準的な)内容に修正する必要があります。
これは必ず、契約書にサインする前に行わなくてはいけません。一旦サインしてしまうと、契約書に書かれていることが全てです。読んでいなかった、理解していなかったという言い分は通りません。
最初に頭金を振り込む期日については、契約日の翌日などとなっているケースもありますが、急用があって実行できなかったとか、曜日をちゃんと確認していなくて振り込みが実行できないなど、思わぬ失敗が起こりがちと言われています。
日付が空欄のままサインし、相手が後で記載した期日を知らなかったということもありえます。
契約書に記載されている期日までに入金を完了しなかった以上、買い手側の債務不履行責任が発生します。普通なら1日くらい待ってくれるでしょうが、売り手側に何か思惑があれば、違約金を請求される、買い手側から解除する権利を失うなど、不利な立場に追い込まれる可能性があります。
自分サイドにも弁護士を立てていれば、こうした細かなところにも目を配り、妥当な内容に契約書を修正してもらうことができます。
弁護士を雇わずに自分で手続きを行う場合、売り手側の弁護士に「これが通常の内容です」と言われたら、反論できないのではないでしょうか。
第二の役割は、所有権の移転手続きです。この点は、日本の司法書士の役割と似ています。
所有権移転登記は、特に海外では自分で行うことは事実上不可能でしょう。また、銀行からローンを借りて抵当権を設定する場合は、銀行からしかるべき弁護士を通して手続きするよう要求されるはずです。
また、自分サイドに弁護士を立てれば、契約の相手が真正の所有者かどうか調査してくれますので安心です。
また、物件の管理組合総会の議事録なども弁護士を通じて入手してもらえますので、建物に何か問題が発生していないかなどもチェックしやすくなります。
さらに、オーストラリアでは、印紙税・不動産取得税に相当する税金も、この弁護士を通じて納付するのが通常です。納税額は不動産の売買価格に応じて決まるため、契約書の写しをはじめ、諸々の証拠資料を提出する必要があるからです。
以上の契約書のチェック、各種調査等をすべて弁護士(ソリシター)に委託した場合、オーストラリアでは15~20万円程度かかります。
不利な契約を結ばされないように、また、確実に自分に所有権を移転するために、これは必要経費として織り込んでおく必要があります。
なお、大型開発物件などで、「弁護士もこちらで用意するので手間いらず」というものを見かけることがあります。
売り手サイドに仕事を紹介してもらった弁護士が、買い手のために全力を尽くせるとは通常考えられません。これで弁護士費用まで買い手が負担させられてはたまりません。
我々の場合は、売り手とは関係のないローン仲介業者(モーゲージ・ブローカー)に複数の弁護士事務所を紹介してもらい、サービスの内容や評判を調べ、見積もりをもらって委託先を決定しています。
買い手側の仲介業者(バイヤーズ・エージェント)を雇う場合は、こちらに紹介してもらうのもよいでしょう。
オーストラリアの場合、大都市には日本人の弁護士もいます。仲介業者からの紹介では不安だという場合は、まずはインターネットで調べ、委託内容や費用などを相談してみてはいかがでしょうか。
日本人弁護士のいる事務所は数は多くありませんので、その中からさらに選びたいということであれば、物件の申し込みを入れる前に、概ねの委託内容や費用を問い合わせておくとよいでしょう。
申し込みから契約書サインまでは時間に追われることもあります。弁護士が決まらないからと時間が経過してしまうと、競合者に物件を取られるかもしれません。
なお、州によって法律や取引慣習が異なりますので、物件を購入する州で開業している事務所に委託することをお勧めします。
不動産取引は金額も大きく、株のように簡単に損切りすることもできません。15~20万円程度の金額は保険料だと思って、しっかり自分側の弁護士を立てるべきだと考えます。
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