オーストラリア主要8都市の住宅価格は、前年同月比で11.1%上昇しました。
主な都市の上昇率は以下のとおりです。
・ シドニー 18.4%
・ メルボルン 11.5%
・ ブリズベン 3.9%
上記キャピタルゲインに家賃収入を加えた年間総リターンは、以下のとおりです。
・ シドニー 22.8%
・ メルボルン 15.2%
・ ブリズベン 8.8%
※ 実際に売買が行われた住宅価格の中央値。新築・中古の全体(2015年7月末時点)
Source: CoreLogic RP Data
シドニーは昨年の15%上昇に続き、力強い上昇局面が続きました。ローンを組んでレバレッジを利かせていた場合、家賃収入は返済と保有コストで消えるとしても、キャピタルゲインで相当な利回り(特に自己資金比)となったはずです。
自己資金(頭金+諸経費)2割の場合、不動産価格が30%上昇すれば、自己資金(自己の持分)が2.5倍になります。2年で利回り150%です。
ただし、含み益ですので、現金化したい場合は別途売却コスト・税がかかります。
大まかなイメージでは、5000万円の物件に、自己資金1000万円、ローン4000万円で投資した場合、物件価格が6500万円(30%上昇)となれば、自己の持分価値(物件価格-ローン残高)は2500万円となります。
日本でも話題となったピケティ教授がおっしゃるように、適切な資産に投資することで、ますます資産が増えていくという状況です。
2年間で1500万円資産を増やすというのは、給料から税金・社会保険料を払い、生活費を差し引いて余った分を貯金するという手段では、通常達成できることではありません。
メルボルンも昨年の9%上昇の勢いを維持しています。
ブリスベンは、昨年の7%上昇から減速していますが、それでも3.9%の上昇と底堅さを見せています。
我々は、中長期のキャピタルゲイン年率5~6%をターゲットとしていますが、これを少し下回る水準です。
以下は、過去10年間の住宅価格の上昇率(年率)です。主要都市平均は年5.6%上昇となっています。
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以下は、直近の底値(トラフ)からの住宅価格の値動きを示しています。
Source: CoreLogic RP Data
シドニーは底値から50%近くの値上がりと、そろそろ一相場終わりと言われていますが、どうでしょうか。
仮にシドニー相場がピークに達した場合、その後どうなるのか。これを示唆するものとして、前回のピーク後の動きを調べてみたいと思います。
以下は、前回ピーク時の価格と、現時点(2015年7月末)の価格を比較したものです。
Source: CoreLogic RP Data
シドニーは現在、前回ピーク時を40.4%上回る価格水準に達しています。
一方、先のグラフで示されているように、直近の底値からは47.9%値上がりしています。
つまり、前回のピークから底値までの下落は、単純計算で7.5%だったということです。暴落ではなく、緩やかな価格調整の水準だったと言えます。
なお、メルボルン、ブリスベンで同様に数値を計算すると、前回ピークから底値までは13~14%の下落となっています。
前回ピークで買ってしまった投資家は残念ですが、暴落というほどではありませんし、メルボルンの場合、今も持ち続けていればそれなりの含み益が出ています。
過去と同じようになるとは必ずしも言えませんが、過去の値動きを参考にするなら、今回ピークを打った後、暴落と言うよりは緩やかな価格調整が行われると言えそうです。
今、シドニーで買うべきか否か。不動産業界のニュースを見ても、シドニーの好立地では短い日数で物件が売れています。売り手もまだまだ強気です。掘り出し物を安く手に入れられる状況ではありません。
むしろ、ろくに現地も見ず、住宅診断も実施せずに買い付けを入れないと、競合者に持って行かれるような状況と聞いています。(東京でも優良物件は似たような状況のようですが)
確かに、今買わないことで、今後の値上がり機会を逃す可能性もあります。また、買わずに待っていても、大幅な値下がりの機会は来ないかもしれません。
それでも、我々の戦略では、もう少し市況が落ち着き、優良物件をじっくり見比べられるようになるまで待ったほうがよいと考えています。
住宅診断もせずにすぐ購入しないと買い負けるという状況では、バクチになってしまいます。買った後で「しまった」となっても、不動産は簡単には売却できません。
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