シドニーのマンション(Unit)の家賃は、昨年比で5.3%上昇しました。
メルボルン、ブリズベン、アデレードでも上昇していますが、やや力強さに欠ける結果となっています。
Source: Financial Review
需要に比べて、新規供給が追い付いていないシドニーでの上昇が目立ちます。
一方で、パース、キャンベラでは家賃下落が顕著です。パースでは資源ブーム一段落の調整が進んでいるようです。キャンベラ(政治都市)は国家公務員削減によるマーケット縮小の影響が出ています。
なお、表中の家賃額は週家賃ですので、月家賃に直すと、シドニーの平均的なマンションで2,140ドル(21万円)程度となります。ブリズベンのマンションで、月15万円といったところです。
こちらには、学生寮を除いて、いわゆるワンルーム・マンションはほとんどありませんので、日本に比べて家賃の平均額は高めに算出されます。若い独身者は、たいてい友人や同年代の親類と一緒に2LDKを借りて、家賃を折半しています。
シドニーの住宅価格は、ここ一年で戸建てが15%、マンションが12%程度上昇していますが、家賃もそこまでの勢いではないものの、価格の上昇に追いつく様子を見せています。
なお、シドニー全域での空室率(住宅系)は、約1.7%です。東京駅前、丸の内のオフィスビルよりも空室率が低いです。
建築規制が厳しく、都市中心部の限られた地区を除いて、東京のように敷地いっぱいに高層マンションを建てられません。人口の伸びに比して住宅供給が不足している状況が続いています。
空室率が低いことに加えて、キャピタルゲインも見込めることから、表面利回り(Gross
rental yields)は5%程度となっているのがオーストラリア不動産市場の特徴です。
東京でも、近年は表面利回りが低下傾向ですが、それでもまだ8~9%程度(中古ワンルーム)は期待できるでしょう。
ただし、表面利回り5%というのはあくまで平均的な物件であって、高いキャピタルゲインが期待される一等地の戸建ては2.5%、マンションは4%くらいです。
オーストラリアの不動産投資(住宅系)は、基本的にキャピタルゲイン狙いが中心です。家賃収入は、住宅ローンの返済に充てるだけの感覚です。
もっとも、物価の上昇、人口の拡大に伴い、通常は家賃も上昇していきますので、5年、10年も経てば、入ってくる家賃の額もずいぶん増えているということになります。
目下のところ、オーストラリア投資家の目は、出遅れ銘柄のブリズベンに向かっています。徐々に価格も上向いているようですが、まだブームというほどではありません。
なお、今回の全国的な不動産価格上昇サイクルは概ね2015年中までで、2016年からは価格調整が始まるというのが現地専門家のコンセンサスでした。
これは、2015年中に中央銀行が利上げ(金融引締め)に動くことを織り込んでの予想です。(だだし、各都市の経済状況によって、ピーク時期は前後します)
先日政府が発表した雇用統計によると、失業率の回復が思わしくなかったことから、さらなる利下げ観測も浮上しています。
さらなる利下げに踏み切った場合、または利上げ時期が後ろにずれた場合は、価格の上昇サイクルが従来予想より長く続くかもしれません。