2014/12/27

管理会社に任せきりで大丈夫か

買うだけで、ほとんど何もせずに儲かるから、不動産投資に興味があるという方もいます。

特に、海外物件で短期間で価格が2倍になったというような事例を聞いて、やってみたいと考えるようになった方も多いようです。

確かに、ほとんど何のアクションも要せず、特段の修繕費もかからずに、毎月の家賃が振り込まれる「楽な」時期もあります。しかし、それがずっと続くことはありません。

それまで快適な巡航速度で進んでいたものが、一旦退去となると、立ち退き、クリーニング、修繕と、一気に問題(と経費)が湧いてくることもあります。新しいテナントさんを見つけてもらうための広告費、手数料も必要です。

人が住んでいれば使い痛みや故障が出てくるのは当然ですが、同じ人が入居しているうちはそのままで済んでいても、新しい人に入ってもらうとなると直さなくてはいけないことも出てきます。

どこまで修繕やグレードアップを行うか、家賃額の交渉をどうするかなど、細かなところでもオーナーの意思決定が必要となることがあります。

まずは日本で賃貸経営の感覚を掴んでから、それを海外でもやりたいのかどうかを考慮して海外物件の購入を検討すべきと思います。

業者が全部やってくれるから経験などなくてもできるのではと思うかもしれませんが、あまりにも業者の自由に任せてしまうと、管理手数料やら修繕費やら、好きなように取られます。テナント付けも真剣に行ってくれないかもしれません。

借り上げ(サブリース)で全てお任せというのもありますが、その分は上乗せした手数料分を取られます(サブリース会社からオーナーに支払われる契約賃料が相場より低い)。

評判などを確かめて信頼できる業者を探すのも大切ですが、相手を信頼しながらも手綱は握っていなければいけません。

あまり文句ばかりをつけて関係を損ねるのも問題ですが、あまりにいい加減であれば管理会社を変える必要もあります。

それが、管理会社から見ても、変なことはできないという抑止力にもなります。(そのエリアで管理を頼める会社が(実質的に)1社しかないというのは、初めから危ない兆候です)

ビジネスでも、オーナーが一切経営に関知しなければ、社員に好きなようにされるリスクが高くなるのと同じです。


確かに不動産投資では、日々の運営は管理会社に委託できますので、投資家自身で日々行うべきことはあまりありません。これは不動産投資(賃貸経営)のメリットです。

しかし、それは他人に全てを委ね、お金だけを受け取るということではありません。

2014/12/22

海外不動産の価格データの読み方

オーストラリアでは、不動産価格の動きは'median price'(中央値)で示されます。

単純な「平均値」ですと、一件で数十億円もするような高額物件や、逆に難あり物件の安い価格に、平均価格が引きずられることになります。

そこで、一定期間の取引を価格順に並べ、ちょうど真ん中に来る価格(中央値)が指標として利用されています。

(例)実際の取引価格
    8000万円
    6000万円
    5500万円
    4000万円 ← 中央値
    3800万円
    2000万円
    1500万円

とはいえ、これも万能の指標ではありません。

たまたまある時期に新築の高額物件が大量に市場に出れば、その時期の中央値は押し上げられます。
ここ3ヶ月で値上がりした、1年間で値上がりしたといっても、それは中古物件の取引が減少し、新築の供給が増えたからなのか、それとも中古物件でも価格が上昇しているのか、見極めが必要です。

データを取る期間が長く、対象の取引数が多いほど、データのブレは少なく信頼性が高いデータといえるでしょう。逆に、短い期間での数十件程度の取引数の中央値であれば、大幅に値上がり(値下がり)しているといっても、あまり信頼性はありません。

ある地区では1LDKの間取りが多く、別の地区では3LDKの間取りが多いなど、地区によって特性が異なる場合もあります。この場合は、単純に地区ごとの中央値を比べただけでは、実質的な値段の違いが分かりません。

データ提供会社では、戸建て、マンションに分けて、またベッドルームの数に分けて、中央値のデータを提供しているところもあります。

また、新築物件の場合、売り出し価格には、建築コストに加えて、開発業者の利益も含まれています。新築物件の値動きは、必ずしも不動産取引市場全般の動きを反映しているとは言えません。

したがって、この地区では値上がりしていると業者に紹介されても、新築の売り出し価格が値上がりしているだけなのか、それとも中古物件の価格も値上がりしているのか、分析が必要です。

この点は、業者の言い分を鵜呑みにせず、自分で調べる必要があります。または、中立の立場で情報を提供している企業から、(ちゃんと自分で費用負担して)データを購入するかです。

そもそもデータが整備されていない途上国で投資する場合は、自分の足で現地で調べるか、現地に(売り手でない、少なくとも中立の)パートナーがいないとリスクが高いです。

途上国案件の場合、値動きとか成長性とか、たいていの情報の出所は開発業者(売り手)なのが実際だと思いますが。

自分が将来売却する際には、当然、中古物件として扱われることになります。マーケット全般に、中古物件の価格が上昇していなければ、(キャピタルゲインも狙う場合の)投資としては意味がありません。

いずれにせよ、その都市(地区)で何%上昇したといっても、全体の傾向を示す目安にしかなりません。投資として成功したかどうかは、自分が投資した物件の価格が上昇しているかどうかによります。

自分の購入した物件がどの程度値上がりしたか(厳密には、値上がりしたと推測されるか)は、立地、間取り、設備などが同程度の物件で比べてみないと分かりません。

オーストラリア不動産の価格上昇がスローダウン

不動産取引データを提供しているCoreLogicが公表したデータによると、オーストラリア不動産の値上がりペースに減速感が見られます。(2014年10月末時点)


これは、2015年、2016年と価格の上昇速度が減速していくとの複数の専門家の見立てと一致するものです。

もっとも、グラフはオーストラリアの大都市全体の姿を表したもので、取引ボリュームの大きいシドニー、メルボルンの価格変動が大きく影響しています。
全ての都市が、同じ動きをしているわけではありませんが、全体の傾向は読み取ることができます。

例えば、ブリスベンの上昇サイクルのピークはこれからと言われていますが、国全体での不動産投資が減速していく中では、今後、ブリスベンだけが年10%、15%を超えるスピードで上昇することはないでしょう。

外部環境にも左右されますが、近年の値動きをグラフで見ると、今後、2016年から2018年にかけてのボトムの時期には、5%程度のマイナスになることも考えられます。

マイナスの度合いも、投資家の選好度や地域経済の底堅さによりますので、マイナス圏に突入する都市もあれば、ボトムでも成長がゼロになるだけ(値下がりはしない)の都市に分かれるでしょう。

もっとも、オーストラリアでは政府の物価上昇率ターゲットを2%~3%に据えており、概ねこの範囲で推移しています。したがって、値上がりがゼロというのは、物価上昇分だけ実質的には値下がりしているとも言えます。

あくまでも過去のデータではありますが、グラフのとおり、値下がり局面でも、1~2年間で、年5%程度の下落です。今後、値下がりの可能性はありますが、あえて底値を待つというほどの下落にはならない可能性もあります。

現状での価格の値ごろ感や今後の値上がり見込みを考慮すれば、短期的にも少しでも損はしたくないという投資家の場合は今が絶好のチャンスとは言えませんが、長期的な視点で、海外への資産分散なども考慮しての投資であれば、あえて底値を狙う必要もないでしょう。

つまり、無理をしてでも参入すべき時期とは言えませんが、資金、情報などの準備が既に整っていて、海外での資産分散の必要性もあるのであれば、(来るかどうか分からない)底値を敢えて待つ必要もないだろうということです。もちろん、今後の値下がりリスクが少ない地区で、適切な物件を選別することが前提です。

オーストラリアの物価、人口、GDPは上昇を続けています。都市や地区によっては、2004年から2005年にかけての事例のように、物価上昇分程度は上がり続け、「底値」が来ない可能性があります。

2014/12/15

海外不動産の買ってはいけない物件
-資源関連都市

外国人投資家にはあまり宣伝されていないと思いますが、オーストラリア北部準州のダーウィンや、クイーンズランド州北部のグラッドストン、モランバなど、天然資源関連都市での不動産投資がときに人気を博すことがあります。

もともとが田舎町で低価格だった地域に、資源ブームのときには高給の仕事が多く生み出され、一時期は途方もない価格、家賃になっていました。

大都市の物件で「手堅い投資」をしていたのでは到底狙えないキャピタルゲイン、インカムゲインが期待できたことから、ニュースや投資雑誌で頻繁に取り上げられたことありました。

今では資源価格の下落で、こうしたエリアでの雇用も減り、住宅需要が急落しています。

何せ原油や鉄鉱石等の価格は、直近のピークから半値近くに下落しています。資源会社が鉱山を一時閉鎖したり、新規の開発もストップしています。

資源ブームを挟んだ良い時期に参入した投資家には、数年で不動産価格も家賃も2倍にということが起こりました。現在は元の田舎町としての状態に戻っています。

一過性のブームだと認識した上で行動していた抜け目ない投資家はともかく、資源高は当面続く(それに伴い鉱山都市の住宅需要も続く)とか、値段が上がっているから自分も買うと単純に考えていた投資家は痛い目にあっています。

景気が良い時期には、元々人口が少ないところに一気に労働者が増え、家賃は大都市よりも高くなることがあります。(高くても、景気のいい資源会社が負担します)。

しかし、資源産業の好景気が続くと見込み、遅い時期に参入した投資家は、痛い目を見ることになります。

5000万円くらいの物件をローンを組んで投資した場合、物件の価値は2500万円くらいに下がり、取れる家賃も激減しているのに、ローンの返済は続けなくてはいけません。引退後のために資産を増やすつもりが、一生働くことになりそうな個人投資家もいます。

国内ではホットスポット(狙い目)としてもてはやされることもありますが、どうしても動きが遅くなりがちな外国人投資家としては、初めから対象にしないほうがよいでしょう。

資源都市が将来、また狙い目として喧伝される時期が来るかもしれません。オーストラリアの資源都市に限らず、世界の新興都市での投資が喧伝されるときは同様のリスクがありそうです。

結果論で言えば、「あのとき買っていれば」と思うことはあるかもしれませんが、それは世界のどこでも、株の場合でもあることです。

なお、大都市でも、ウェスタンオーストラリア州の州都パースも、地元の産業が資源関連に偏っているため、田舎町ほどではないものの、資源価格に景気や雇用が左右されやすいため注意が必要です。

天然資源ほど劇的な動きはないかもしれませんが、観光メインの都市、ケアンズ、ゴールドコーストなども、国内外の景気に左右されやすいので注意が必要です。

こちらは知名度が高いこともあり、外国人向けにも宣伝されることが多いので、特に気を付けないといけません。

数億円規模の資産があって、ポートフォリオの一部として資源都市、観光都市で大当たりを狙う(想定通りにならなくても耐えられる)ならありかもしれませんが、老後のための資金など、資産の大部分を投資として振り分けるのにはお勧めできません。

自分が住むための終の棲家として、値上がりも家賃収入もあてにせずに購入するなら別ですが。

2014/12/10

海外不動産の買ってはいけない物件
-家賃保証マンション

オーストラリアでは、大規模な開発物件など、投資家向けに家賃保証付き(利回り7%保証など)で売られているケースがあります。

一般に家賃保証には以下のリスクがあります。

・ いずれは保証家賃が減額
・ 物件価格に保証分が上乗せされている可能性
・ 空室時の家賃免責期間、費用負担、解除時の違約金などが発生する場合も
・ 保証会社(ディベロパー)の倒産リスク

また、サブリース型(保証会社が第三者に貸し出し)の場合、以下のリスクもあります。

・ 入居者の素性がオーナーには知らされない
・ 物件の状態が不明(ボロボロにされているかも)
・ 保証契約終了後は、上記の入居者を、現況で引き継ぐ

家賃保証は2年間で一区切りが多いようです。契約当初は、周辺の相場並み、ときに相場より高いこともあります。当面は家賃収入が確保されるということで、投資家(購入者)を安心させる趣旨です。

当初の保証期間が終了後は、保証を継続する場合でも間違いなく減額提示が行われます。(保証会社の取り分を増やすには、オーナーの取り分を減らす必要があります)

また、オーナー側の意志で保証契約を更新しない、打ち切る場合の手数料や違約金については、サインをする前に必ず契約書の確認が必要です。

解除手数料などが高すぎて、家賃保証額の減額に泣く泣く従わざるを得ない、となりかねません。

また、保証契約の更新をしない場合、賃借人を現況で引き継ぐことになります。

契約中は、保証会社は空室でもオーナーに家賃を払わないといけないため、とにかく空室を埋めようとします。

家賃を相場より下げたり、敷金なし、賃借人の身元調査がずさんなど、オーナーとしては好ましくない状況で引き継がざるを得ないこともあります。

日本で実際にあった話ですが、保証契約を終了させた後、賃貸管理を引き継いでくれる管理会社を探して問い合わせを行うと、既存の入居者の審査が行われました。(サブリース型の保証だと、オーナー側は実際の入居者を選べません)

新たに賃貸管理をお願いする会社の基準で入居者に問題ありの場合(本来は入居審査で引っかかるようなケース)や、すでに入居者とトラブルになっている場合など、管理を引き受けてもらえないリスクがあります。

万一、どこも引き受けてくれないとなると、そうした入居者を相手に自分で家賃の催促などもしないといけません。家賃が下がることよりも、このリスクが一番怖いかもしれません。

サブリース型の家賃保証を付けるとしても、ちゃんと入居者審査を行っている、信頼できる会社かどうかは大切です。

また、保証会社もビジネスとして行っています。空室損のコストに加えて、利益も乗せないとビジネスとして成り立ちません。保証家賃は市場価格より2割程度は安いでしょう。(もしくは、その分を当初の物件価格に上乗せです)

基本的な考え方としては、空室率10%以下が見込まれるなら、オーナー側には家賃保証のメリットがないです。

そもそも、空室率が高く、家賃保証してもらわないと維持できないようなエリアでは投資をしないということです。

いずれにせよ、保証は不要ということになります。

確かに、一つの物件だけを保有している場合は、ある時期に数か月も空室が続く可能性もあります。

リスクを分散するなら、複数物件を異なるエリアに所有する、他の資産とのバランスで不動産投資はポートフォリオの一部に留めるなどを考慮すべきでしょう。

一つしか物件を所有できず、それも空室になると維持できない(中長期での投資ができない)のであれば、不動産投資を行う体制が整っていないとも言えます。

不動産投資の場合、買うにも売るにも相応の経費と時間がかかります。株のネット取引のように数千円のコストですぐに損切りというわけにはいきません。

たとえしばらく空室が続いたとしても問題のない体制を整えてから投資すべきですし、そうであれば家賃保証も必要ありません。

また、家賃保証付き物件が多いマンションの場合、他の注意点もあります。

自分の物件に家賃保証を付けない場合に、賃貸管理を誰に頼むかです。

同じマンションで空室が出た場合、保証会社と管理会社が同系列の場合、当然、保証付きの物件から埋めようとします。保証付きの物件が空室のままだと、保証会社側の損失になるからです。

自分が家賃保証を付けない場合でも、マンション全体で家賃保証物件が多いのか、賃貸管理会社と保証会社が系列会社かどうかには注意しましょう。

2014/12/02

海外不動産の買ってはいけない物件
-幹線道路沿いなどセカンドクラスの立地

地区自体は良いとされるエリアでも、幹線道路沿いや、近隣に変電所などいわゆる迷惑施設がある物件は避けるべきです。

商業施設が近くにあるのは一般的には良いのですが、夜遅くまで人通りが多く、駐車場に車が出入りする、飲食店からの音楽や人の会話がうるさいなど、店舗に近すぎるのも敬遠されます。

どのような物件でも基本的に道路に面しているわけですが、ほとんど住民しか利用していない静かな道路に面しているのがベストです。都心に近い立地であれば、この点は売りになるくらいです。

逆に、昼夜問わずトラックが通り抜けるような道路に面している場合は、始終騒音にさらされることとなりますから、将来の買い手や借り手がしり込みする可能性があります。

住んでいるうちに気にならなくなることもあるでしょうが、そこに初めて住むとなると、やはり手を出しにくいものです。貸すとき、売るときに、需要がそれだけ少なくなるということです。

利便性の高い場所であれば、安いなら住んでもいいという人もいますが、どんなに安くても騒音は嫌だという人もいます。いずれにせよ、家賃や価格がどんどん上がっていくという状況は想定しにくいでしょう。

近隣の物件でも、道が一本違うだけで、交通量が大幅に違う場合も珍しくありません。

基本的には、行き止まりの道路、幹線道路や橋への接続が良くない道路に面しているほうが、住環境の面では静かな良い環境となります。住民以外はほとんど道路に入ってこないからです。

同じエリアの物件なら同じ価値ということはありません。少なくとも、幹線道路に面している物件なら、それを織り込んだ価格で購入する必要があります。

駅まで徒歩8分の物件が5千万円で売られていたとして、より駅に近い徒歩5分の物件が同じ5千万円で買えるならお得かというと、そうとも限りません。

このあたりの相場観は、やはり現地を見てみないと、地図だけでは分かりません。

幹線道路に挟まれた角地などは、当地の投資家は、立地を見ただけで対象から外す人も多く、投資の出口が狭まるので安くても避けた方が無難です。

それから、立地に関して注意すべきは、同じ地区内でも自然災害に弱い地点、強い地点があります。

少なくとも過去数十年はさかのぼって、大きな被害を与えた災害がなかったか調べる必要があります。地盤や立地の高低によって、被害の大きかった地区、ほとんど被害がなかった地区に分かれるはずです。

ブリスベンであれば、川からの洪水被害が主な自然災害リスクです。2011年に100年に一度と言われる規模の被害が発生しました。

都心に近いエリアでも、水浸しになった地区と、全くといっていいほど被害を受けなかった地区があります。実際の被害を受けた地区が地図化され、市役所のホームページで公開されています。

100年に一度の洪水といっても、次に起こるのはまた100年後とは限りません。大規模な災害リスクの高い地区を避けるのも不動産投資の大切なポイントでしょう。(当然ながら、不動産は場所を移せません。立地自体が価値を大きく左右します)

市民へ危険性を喚起するために必要なことではありますが、ブリスベンのように洪水危険度の地図が公開されると、高リスクと指定された地区では、どうしてもそれを織り込んだ価格が形成されます。

我々が以前に住んでいた地区では、同じ道路に面していても、距離が100メートル違えば、坂の高低差で、浸水リスクがずいぶん違うということもありました。

少なくとも、高リスク地区と知らずに買ってしまう、ということは避けなければいけません。

浸水に関しては、「自分の物件は2階以上だから関係ない」とは必ずしも言えません。地下駐車場、ロビー、エレベータなど共有部分が被害を受けると、オーナー全員で費用を分担する必要があります。

通常は管理組合で建物の保険に加入しているはずですが、被害の全額はカバーされないとなると、一時拠出金が必要となる可能性もあります。

また、災害リスクの高いエリアでは、建物の災害保険料も基本的に高くなりますので、購入前にコストを調べておくことも必要です。

2014/12/01

海外不動産の買ってはいけない物件
-建物の中で、悪いスポット

同じ建物で同じ階、同様の間取りでも、値段が大きく異なる場合もあります。

例えばオーシャン・ビュー、リバー・ビューのある物件と、道路に面している物件とでは、階数、広さなど他の条件が同じでも、価格が1千万円以上違うこともあります。

同一の建物内でも、バルコニーから見下ろした景色が、ごみの集積場所だとか、駐車場、また、隣のマンションの壁が近い、という物件は避けられます。

その分、他の物件のより安く買える可能性もありますが、経済的に余裕のある層が好んで選ぶものではなく、将来の値上がりポテンシャルは低くなります。

一等地で安く買える、そして割安で貸しても構わないということであれば、一定の需要があるかもしれませんが、少々イレギュラーなニッチを狙っていると言えます。

現地に住んでいて事情がよく分かっているという投資家でなければ、避けるべきでしょう。

少なくとも、こうしたマイナス物件を、現地を調べずに、普通の物件と同じ価格帯で買ってしまう失敗は避けなくてはいけません。

眺望や位置取りに関しては、何が良いか悪いかは基本的に日本の状況と同じですが(多少、重視するポイントが異なる場合があります)、海外投資ということで、この点のチェックが甘くなったり、業者の宣伝を鵜呑みにしてしまうことがないよう注意が必要です。

「現地の人は気にしない」というのは、本当に気にしないのか、日本人に比べてそれほど気にしないのか、実際の市場価値の差など、裏を取らないといけません。

周辺環境の調査にあたっては、グーグルマップも参考になりますが、映像が数年前のままということもありますので、鵜呑みにしてはいけません。

物件を写真で確認する際にも、本当にその物件のものか、その物件から(自然に)見える眺望か、それとも単なるイメージ写真か確認が必要です。後になって「別の物件の写真と間違っていた」と弁解されても、契約の取り消しまではできないでしょう。

眺望やポジションが気に入って買う場合、特にその点にプレミアムを支払う場合は、自分の目で現地で確認すべきです。

もっとも、明らかにマイナスのある物件は(立地自体は良くても)避けるとして、建物の中での最上等物件を狙うかはケースによります。

オーシャン・ビュー、リバー・ビューの特に上等の物件と、眺望、位置取りに問題がない物件(マイナスはない、普通の物件)であれば、どちらを選ぶかは、どの価格帯(マーケット)を投資対象にするかによって異なります。一概にどちらが良いとは言えません。

海や川に面している物件のほうが、富裕層を対象にした価格帯となること、希少性が高いことから、キャピタルゲインに関してはポテンシャルが高いと言えます。

一方で、既に眺望のプレミアムが付いた値段になっているはずで、それ以上の値上がり余地が少なくなっていないか、プレミアムが高すぎないか注意が必要です。

また、そうした高額物件に賃貸で住みたい人となると、高給取りの海外駐在員が多い都市でないと、借り手の層も限られます。物件価格も賃貸状況も景気に左右されやすいため、本当に資金に余裕のある投資家向けでしょう。

また、眺望が売りの物件の場合、海や川に面しているといっても、リビングのソファーに座りながらでも見えるのか、バルコニーから身を乗り出せばようやく見えるのか、状況は様々です。当然、実質的な価値も異なります。

値下げ、安く買えるという宣伝文句に釣られず、自分で現場を調べないといけません。「既に売れた同じ階の物件より500万円安い」といっても、眺望や騒音、角部屋かどうかなども考慮すれば、実は1千万円引きが妥当という可能性もあります。

将来の都市計画の変更などで、眺望がブロックされる可能性もあります。眺望を遮る別建物の建築は物理的に不可能という立地でない限り、眺望にプレミアムを支払うのは長期的にはリスクを抱えます。(建築規制は変わる可能性があり、公有地も放出される可能性があります)

現に、ブリスベンの都心に近いSouth Brisbane地区では、従来は6階建てまでに制限されていました。しかし、このままでは住宅需要に追い付かないということで、数年前に都市計画が変更され、20階建てまで許可されるようになりました。

以前は高さ制限ギリギリだった6階建てのマンションも、現在は20階建ての新築マンションの間に挟まれてすっかり空を覆われています。

かつての最上階の眺望も、このように簡単にプレミアムが剥落してしまうリスクがあります。

また、本来は富裕層が好む地区ではないものの、川に面していて間取りが広い(最上階のペントハウスなど)ということで、高級物件としての価格帯で売られているものもあります。

こうした物件に関しては、将来、富裕層が住みたいと考える地区になりそうか、その地区で富裕層が物件を借りてくれるか、分析が必要です。どんなに建物内がきれいでも、都心までのアクセスが不便、治安に問題があるという環境では、富裕層が好んで買って(住んで)くれることはありません。

我々は、リスク低減の観点で、はじめから海や川の眺望のない物件をターゲットにしています。将来眺望がなくなるリスクがないのと、どれくらい見えるからいくらという価格算定も必要ないためです。

眺望や建物内でのポジションが最上というわけではないが、決して悪くもないという物件を、それを織り込んだ価格帯で狙います。ただし、素晴らしい眺望はなくても、角部屋だとか、日当たりがいい、道路に面していなくて静かなど、何かセールスポイントがあることは求めています。

これは将来の売却、賃貸にあたって、同建物内での競合リスクを少なくするためです。

2014/11/26

オーストラリア不動産、価格上昇ペースが緩やかに

豪4大銀行の一角、ANZの調査によると、オーストラリア主要都市の不動産価格は上昇を続けているものの、上昇スピードが緩やかになっている傾向が読み取れます。

以下のグラフを見ると、2014年7月ごろをピークに上昇率が鈍化しています。(値下がりではありません)

Source: propertyupdate.com.au

シドニーに関しては、一時は年率15%を超える上昇を見せ、バブルではないかとの議論もありました。むしろ今回の減速は中長期的なマーケットにとっては好ましいかもしれません。

減速したとはいえ、なお年13%程度のスピードで価格が上昇している状況です。マイナス圏に入るのはまだ先になりそうです。

一方で、出遅れ銘柄として投資家から期待されていたブリスベンですが、落ち込みはないものの、他都市と同様に上昇速度が落ち着いている傾向が見えます。

このまま全国的な傾向に飲まれて価格上昇が止まるのか、それとも他都市からの投資が向かうことで出遅れを取り戻すのか、注目を集めています。

天然資源産業の都市としてこれまで急速に成長してきたパースですが、鉄鉱石価格の下落に伴い、大都市の中でもいち早く価格の減速が始まりました。

このままでいくと、そう遠くない時期にマイナス圏に突入しそうです。

地元の投資家のように機動的に動くのが難しい外国人投資家には、やはり多様な産業に支えられた大都市での投資をお勧めします。

オーストラリアでいえば、シドニー、メルボルン、ブリスベンが基本です。
それ以外の都市は、天然資源、観光など、特定の産業に経済も雇用も頼っていることが多く、浮き沈みが激しい傾向にあります。

つい数年前まで、オーストラリア人にも、高利回りで価格もどんどん上がっているということで、地方の小さな資源都市への投資がブームになっていたことがありました。

資源業界が活況の時期には、こうした小さな地方都市に一気に労働者が集まり、不足する住宅をめぐって家賃、価格とも急上昇しました。

家賃収入だけでも利回り10%、さらに物件価格が数年で2倍になったというケースもあったようです。良い時期に参入し、無事に売り抜けた投資家の中には、短期間で財を成した人もいたでしょう。

その頃は、ローンを組んで買えば買うほど儲かったという世界です。

しかし資源価格が下落し、鉱山も閉山となると、一気に街から人がいなくなります。かつての日本の炭鉱町のような状況です。不動産の価値が数年前のピークから半額に下がったエリアも珍しくありません。

そんなエリアで、まだまだ上がると思って5000万円で家を買った投資家は、今頃は2500万円の含み損を抱えていることになります。

ところで、日本人向けに紹介されている海外物件も、知名度や馴染みがあることが理由と思いますが、リゾート地が多いように見受けられます。

自分が住むことを主目的にするなら素晴らしい場所ですが、投資が目的であれば注意を要します。

地域経済が観光産業に依存しているケースがほとんどと思いますので、基本的に浮き沈みが激しいエリアです。

家計の観点からは、観光はいわば贅沢品ですから、景気が悪くなれば一番に切り詰められます。

そうした浮き沈みの激しいエリアで投資する場合は参入時期(高値掴みしないこと)が非常に大切です。

いくら将来は人口が増える見込みだといっても、バブル的な高値から落ち込んだ後、ピークの水準まで回復するのに10年かかることもあります。

底値水準で買って、ブームが来れば大当たりとなる可能性ももちろんありますが、海外で、それも不動産という高額投資でそういう勝負に出るべきかと考えると、当方は否定的です。

底値かどうかという点でも、景気の影響で足を引っ張られているのが原因か、それとも観光地としての地盤沈下が原因か見極めないといけませんから、現地に住んでいても判断は難しいです。

中国人富裕層の選ぶ海外の投資先

世界中に華僑ネットワークを持ち、利に敏いとされる華人の動きを見れば、世界的な富裕層のトレンドを把握する参考になります。

中国人向けに世界の投資用不動産を紹介しているポータルサイトJuwai.comによると、サイトの閲覧件数、取引件数から算出した、華人に人気の不動産投資先は以下のとおりです。

1位 アメリカ
2位 オーストラリア
3位 カナダ
4位 イギリス
5位 ニュージーランド
6位 タイ
7位 シンガポール
8位 ポルトガル
9位 スペイン
10位 マレーシア

成長性、安定性に加えて、将来の移住先、子弟の留学先としても考慮されていることから、英語圏の先進国が上位に並んでいます。

日本ではよくPRされているマレーシア投資ですが、華人はそれほど関心を引かれていないようです。(トップ10には入っているとも言えますが)

投資の世界では、「日本人とアラブ人がやって来たら、そのマーケットはそろそろ終わり」と言われているようです。自戒も込めて、気を付けないといけません。

今後も、中国での生活環境が大幅に改善されたり、資産が没収される政治的リスクなどが落ち着かない限り、富裕層の海外への資産逃避は当面続くでしょう。

中国の経済規模が拡大を続ける限り、外に流出する資金の規模も拡大が続きそうです。

華人に人気の投資先には、相当な金額が毎年流れ続けることになります。特に、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドなど、経済、人口の規模が大きくない国では、かなりのインパクトを与えます。

中国の最上位2%の富裕層の数と、オーストラリアの人口が、概ね同じです。

当該サイトの代表者がインタビューで答えたところによると、平均的な取引価格は約1.3億円で、7割の人が現金で購入しているようです。

価格帯から考えると、中国で海外投資を考えている人というのは、やはり富裕層です。サラリーマンでも海外不動産投資を検討することがある日本とはずいぶん違います。

現金買いが多いというのは、国内に資産を置きたくないということもあるでしょう。

本来なら現金を手元に残してローンを組んだ方が資金効率もよいでしょうが、それよりも資産を海外に振り分けることが優先しているようです。

華人富裕層の間では、子弟を欧米に留学させ、その滞在用と投資を兼ねて、不動産を購入するケースはよくあります。

2014/11/25

海外不動産の買ってはいけない物件
-専用の駐車場なし

専用駐車場なしの物件は、都心のステューディオ・タイプ(日本で言うワンルーム)や、場合によっては1LDKでも一部に見られます。

日本では、マンション内の駐車場は、管理組合から借りる(月々の駐車代金を負担する)のが通常と思います。

オーストラリアでは、駐車場の敷地自体は管理組合の所有となっていますが、部屋番号ごとに指定された駐車スペースの専用利用権が、部屋の区分所有権とセットになって売買されているのが通常です(月々の駐車代金はかかりません)。

専用駐車場なしの物件の場合、同じ間取りで専用駐車場付きの物件に比べて、数百万円程度は安く買えます。

一方で、家賃相場も、駐車場付に比べれば安くはなりますが、価格差ほど安くはならないため、結果的に家賃収入からの利回りが高めになる傾向があります。

当面のキャッシュフローの利回りで見れば、良さそうにも見えます。

もっとも、オーストラリアでは地下鉄などの鉄道網が、東京のようには発達していません。

都心に近い立地なら、車なしでも普段の生活は良いとしても、週末に友人宅やワイナリーに出かけたり、郊外の大きなモールに出かけるとなると、自家用車がないとかなり不便です。

立地と値段によっては諦める人もいますが、本当は専用の駐車場がほしいというのが本音です。

郊外では住宅地の路上に駐車するのは、オーストラリアでは標準的です。高校生以上になれば一人一台持っていますから、専用駐車場だけでは足りないという事情もあります。(路上駐車するのを前提に道路幅が決められています)

もっとも、都心に近いところでは、路上駐車できるスペースも限られ、近隣の住民がいつも確保できるとは限りません。

したがって、都心のマンションであっても、敷地内で地下駐車場などに少なくとも1台分は確保されているのが望ましいです。

駐車場の数は間取りとのバランスも必要で、2LDKまでであれば1台分でもよく、3LDKなら2台分は必要です。

逆に、1LDKで2台分のスペースがある場合、オマケならいいのですが、その分、値段が高いとなると、賃貸や転売時のターゲットが限定される可能性があります。

2LDKの場合は、専用駐車場は1台のみのケースが多いですが、郊外の物件であれば2台確保されている物件のほうがニーズがあるかもしれません。

都心のど真ん中など、職場へ歩いていけるような立地であれば、駐車場なしでも利便性で補えるでしょう。

それ以外の中途半端に便利な立地では、専用駐車場なしの物件は、転売でも、賃貸でもリスクがあります。

少なくとも、資金に余裕のある層は、こうした物件に住まないし、自宅用として買うこともありません。

よって、できるだけ安く住みたいという層が対象になるため、中長期的に、家賃が上がりにくく、資産価値も上がりにくい物件と言えます。

将来の物件売却の出口まで考えれば、駐車場なし物件は避けた方が無難です。

2014/11/21

海外不動産の買ってはいけない物件
-管理組合が機能していない

オーストラリアでは、物件購入にあたって弁護士(Solicitor:日本の弁護士と司法書士の中間的な資格)に契約書のチェックを依頼するのが通常です。日本のワンルームのような数百万円の安い買い物にはならないからということもあります。

(売り手には、売り手側のサイドに立って契約書を作る弁護士がいます。したがって、自分サイドに立って契約内容をチェックしてくれる弁護士を別途に雇う必要があります。「定型的な契約書ですから」というのを鵜呑みにするのは危険です)

これに合わせて、弁護士を通じ、管理組合の議事録を取り寄せます。直近のものだけでなく、できれば数回分を取り寄せることが推奨されています。
(日本では、ワンルームの区分を一つ買うくらいなら、ここまではやっていないのが通常でしょう。建物の状態や賃貸状況が良好で、修繕積立金がしっかり貯まっているなら良しとすることが多いのではないでしょうか)

管理組合がしっかり機能しているか、大規模修繕の予定があるか、建物の構造やオーナー間、入居者間などで問題がないかなどをチェックするためです。

オーストラリアでは、海外に居住している外国人投資家は新築物件しか購入できませんので、まだ管理組合の総会も開催されていないケースがほとんどでしょう。

もっとも、完成後に売れ残っていた物件を購入する場合であれば、既に総会が開催されているケースも考えられます。
新築だから何も問題がないとも言えませんので、諸々の点で不具合が出ていないかどうか、既存のオーナーから不満が持ち上がっていないか、チェックすることが可能です。

オーストラリアの都心に近い高層マンションでは、所有者が自分で住んでいる戸数よりも、投資家が貸し出している戸数のほうがかなり多いのが実際です。物件の管理や修繕などにオーナーがちゃんと目を光らせているか、業者の言いなりになっていないか、注意が必要です。

特に、外国人投資家に人気のエリアでは、自分で住んでいない多くのオーナーが、物件の維持管理に積極的に関与していないおそれがあります。

この点は日本のワンルームマンションのほうが顕著かもしれません。東京のワンルームでは、50戸くらいの規模のマンションで、オーナーが総会に参加するのは、2、3戸くらいです。
もちろん、郵送でも投票できるのですが、理事長に一任を選ぶオーナーが多くいれば、管理業者のいいようにされてしまうリスクがあります。

そもそも論になってしまいますが、地元のオーストラリア人が自分で購入し、自分で住んでいるようなエリア、物件タイプを狙うのが、管理組合の運営を考えれば安心ということになります。

同一のマンションの中で、持ち家と賃貸の割合が、少なくとも半分はほしいです。賃貸が7割を超えると、投資家の割合がかなり多い印象です。

なお、日本でも同様ですが、管理費、修繕積立金に関しては、新築当初はかなり少ない額に抑えられています。維持管理費をできるだけ少ないように見せて、心理的に買いやすくするためです。

負担金額の水準は、間取り、プール、エレベータなどの付帯施設にもよりますが、新築から数年のうちに、管理組合で維持管理費の増額が議論されることになります。

同等の中古物件の管理費くらいはいずれ請求されることになると、あらかじめ見込んでいなくてはいけません。

2014/11/14

海外不動産の買ってはいけない物件
-同じストリートでも他より劣る地点

人気の地区・通りの物件でも、周辺の物件よりも比較的安い、お買い得と思われるものには注意が必要です。安い物には安いなりの理由があります。

東京で不動産に投資をする場合は、都心3区、城南、城西といった大まかなエリアもさることながら、電車・地下鉄の線、駅が投資先を選ぶ基準になっています。

オーストラリアをはじめ、東京のように電車・地下鉄網の発達していない都市の場合、「〇〇線□□駅」を基準に地区を選定することはできません。

サバーブ(Suburb)と呼ばれる地区で大まかな絞りを掛け、さらにその地区の中で、どの通りに面した物件を狙うのかという話になります。

ただし、同じ通りにある物件でも、商業施設に近すぎる物件、交通量の多い道路に面している物件は敬遠されます。

数百メートル続く通りであれば、その中でも一等地、二等地が分かれますので、それに応じた価格帯を見極めなくてはいけません。販売価格の実績を参考にする場合も、この点を考慮する必要があります。

一見、安いなと思っても、本当はもっと安い値段でないと買うべきではない物件かもしれません。「人気の〇〇通りの物件でありながらお買い得」という宣伝文句だけに釣られないよう注意すべきです。

店舗に関しては、コンビニくらいなら便利でいいかもしれませんが、屋外に席があるような飲食店の場合は、夜遅くまで音楽や話し声、食器を片づける音がするなど、住環境に関しては望ましいとは言えません。

店舗や飲食店、スーパーなどが周辺に全くないエリアでは不便すぎますが、近すぎるのもマイナス評価です。(どの程度の騒がしさを許容するかは、文化圏によるかもしれません)

店舗や駅などが歩いて行ける距離にある一方で、住宅の周辺はできるだけ静かなエリアがベストです。

商業施設や幹線道路に近すぎるといった、マイナス部分を考慮した割引価格で取得するなら投資としてアリかもしれませんが、家賃額、売却価格の将来性を考えれば、避けるのが無難でしょう。

少なくとも、人気の地区だからと油断して、問題のない立地の物件と同じ価格帯で購入してしまうことは避けなくてはいけません。

同じストリートでも、どちら側に位置するかによって眺望や環境が異なり、同じ広さの物件でも値段が20%くらい違うことは珍しくありません。

近くの物件が4000万円で取引されているとして、その通りの向かい側の物件を3500万円で購入できたとしても必ずしも良い買い物とは言えません。

眺望や騒音を加味すれば、本当はもっと安い3000万円が妥当な値段だというケースもあります。

2014/11/13

外国人が買い占め、空室のまま放置される再開発地区-メルボルン

メルボルンのドックランズ地区(Docklands)は、もともと船着き場、倉庫街があったエリアです。
近年、地元政府主導で再開発が行われ、新しいマンション群や飲食施設などが建設されています。

図の中心がドックランズ地区。
トラムに乗れば市中心部への移動も便利だが…
地図出典:Google map 

従来は住宅地区とは認識されていなかったものの、市の中心部ほど近くに位置していることから、利便性の面でポテンシャルのある投資地区とされていました。

近年、およそ20階建てのマンションが建設されるたびに、特に中国系の投資家が先を争って購入していたようです。

モダンなマンションが増えていき、特に海外からの投資熱は高まっていたものの、新規供給が多すぎて空室率が高い、実際のキャピタルゲインがほとんどなかった、と不動産関連の各種メディアでは投資先としては疑問視されていた地区でもあります。

先日、筆者も現地に行ってみましたが、午後9時ごろで、マンション群の明かりは1/3も灯いていない状況でした。

ところで、不動産調査会社などが発表している地区ごとの空室率(vacancy rate)は、賃貸募集のデータを基礎にしているため、オーナーが敢えて空室のままにしている(テナントを募集していない)物件は空室率にカウントされていません。

Docklands地区の空室率は手元のデータでは5.7%となっています。しかし、地元の人の実感としては、誰も住んでいないという意味での空室率はこれよりもはるかに高かったようです。

もっとも、これまでこうした話はイメージ、噂話のレベルでしたが、ABCニュース(オーストラリアでのNHK)で、民間団体が実施した実態調査の結果が報じられました。

1年間を通じた水道の利用状況から、実質的な空室(空き家)を調査したというものです。
これによると、Docklands地区では、17%が完全に空室(水道の利用が年間でゼロ)、さらに10%がほとんど利用されていないことが判明しました。

これまでも外国人投資家が購入しても、貸し出していない部屋が多いというのはメディアでも報じられ、誰しもそういうイメージは持っていました。今回は、データで裏付けられた形です。

オーストラリア国外在住の外国人でも、新築物件に関しては制限なく購入できます。これは、人口の増加が続くオーストラリアにおいて、外国資金で新規に住宅を供給するための、オーストラリアなりの知恵です。

人口の伸び(年率1.5%程度)に住宅の新規供給が追い付かないとなると、低所得者用の住宅など、政府が税金を使って公営住宅を作り、運営しないといけません。

そこで、住宅供給、運営は民間に任せる、できれば海外の資金も活用するという発想で、外国人投資家に門戸を開放しているのです。

これは、不動産投資家は当然、家賃収入を得るために貸し出しをするだろうと、オーストラリア人の発想を基礎としています。(日本でも通常そうですが)

ところが、多くの中国系の投資家の発想は異なっていたようです。

中国でも地方部でマンションが林立するゴーストタウンがたくさんできているというニュースがあるように、オーストラリアでの投資行動に限らず、彼らの本国でも、購入しても誰も住んでいないようなマンションはたくさんあります。

中国系投資家にとっては、マンション投資は、金(ゴールド)の現物投資に似た感覚の人も多いようです。つまり、キャピタルゲイン、資産の保全、海外へ資産の分散が主な目的で、インカムには関心が薄いのです。

こうした発想の投資家が市場に影響力を持っているうちは、家賃収入の利回りが低下しても関係がないため、まだ値段が上がると判断すれば、どんどん買ってくるでしょう。

他人に貸すと傷んでしまって価値が下がると考える人もいれば、「いざ」というときのために、海外に自分が逃げ込める場所を確保しておきたい、いつでも行けるように空室のまま置いておきたい、という発想の人もいるのでしょう。

オーストラリアの住民に住宅を供給するために外国人投資家の力を借りるという発想は、今回の調査結果によるとあまり上手くいっていない部分もあるようです。全国的に報道されたことで、これから国会でも議論されるはずです。

また、実際に住んでいる人が少ないとなると、人口増加を見込んでの商業施設の開発も計画通りには進みません。街が便利になって、活気が出ることでさらに移り住んでくる人が増えるという好循環も起こらず、地区の開発計画全体が頓挫するリスクが高まります。

こうしたリスクは、途上国の大規模開発案件でも同様でしょう。

これからは、オーナーが住んでいない、貸し出しもされていないという物件には高い税金が課されるなど、政府が何らかの手を打つことも想定されます。

そうなると、これまで空き家のまま放置されていた物件が多い地区では、一気に賃貸募集が増え、家賃の値崩れが起こりそうです。

また、現行の制度では、オーストラリア国外在住の外国人は、中古物件を購入できません。つまり、外国人は自分が買った物件(売るときには中古となっている)を外国人には売れないということです。

外国人投資家が多い地区で買ってしまうと、いざ自分が売りたいというときに、買い手が見つかりにくいというリスクや、外国人投資家が資本を引き上げたときに一気に値崩れを起こすリスクが高いという点に注意が必要です。

リスク低減のためには、外国人投資家を対象に熱心に売り込みが行われてきた地区(既に値が吊り上っている地区)では買わないということです。

抜け目ない投資家としては、「既に2倍に上がった」というのは、「これから買っても値上がり余地は少ないかもしれない」、「値下がりリスクが高いかもしれない」といった読み替えが必要です。

2014/11/12

海外不動産の買ってはいけない物件-場違いな物件

周辺が低~中所得者向けの住宅が多い地区の場合、間取りの広い高級物件を買ってしまうと、貸すのも、売るのも大変です。

建物や設備が高級な割に、他の地区に比べて安く買えるということで、こうした地区の高級物件に手を出してしまうと後で苦労します。

日本と異なり、海外では地区によって所得水準から治安までガラリと変わります。

いくら建物の中は立派でも、周辺環境が似つかわしくなければ、高所得層が相応の家賃を払って住むことは期待できません。

一方、高所得層が徐々に移り住んできている地区(人気化している地区)で、間取りが狭いために手ごろな価格でとか、築古の物件が放置されているのを安く買えるということであれば、割安でそうした人気地区に住めるということで、それなりの需要は見込めるかもしれません。
(外国人投資家が中古物件を購入できるかは、国によって異なります)

もっとも、高級地区の中とはいえ2級物件となると、資金に余裕のある層が敢えて借りたり買ったりする物件ではないため、将来的な家賃の上昇、価格の上昇に関しては後れをとる可能性があります。

地元の情報が詳しくタイムリーに入ってくるわけではない海外投資家としては、あまり奇をてらわず、(現在および将来の)当該地区のイメージに見合った物件を取得すべきです。

地区住民の平均所得の傾向や世帯構成、街の雰囲気を見て、マンションか、タウンハウスか、庭付きの戸建てか、また、マンションを狙うとしてもどの間取りか、将来の需要予測が不可欠です。

「将来は街の人口が増えているはずだから大丈夫だろう」と漠然と考えるのは危険です。同じ街の中でも、地区によって賃貸状況、売買状況は大きく異なります。

どんな職業でどんな家族構成の人に貸すのか、売るのかまで想定して、本当にその値段で借りてくれるか、買ってくれるかを具体的にイメージしなくてはいけません。

オーストラリアの場合、国勢調査の統計で、地区ごとの平均所得、家族構成、住民の年齢構成などの推移が把握できます。

こうしたデータを活用し、将来の街の姿を推測しながら地区を選定することが大切です。

政府の「〇〇計画」で価値が上がるのに賭けるやり方もあるとは思いますが、私はそういう特別なことがなくても、自然に価値が上がっている地区を選びます。

本当に「〇〇計画」が実施され、完遂されたらボーナスになるくらいのスタンスです。

何もなかったところが開発されれば大儲けする可能性はあるかもしれませんが、他の競合を出し抜けるほどの情報やネットワークがなければ、海外で大勝負に出るのはリスクが高いのではないでしょうか。

もし投資するのなら、開発がとん挫するリスクを織り込んだ価格でということになるでしょう。開発が成功するのを前提にした価格での投資であれば、いずれにせよ旨みはありません。

2014/10/06

海外不動産の買ってはいけない物件-事故物件

オーストラリアではちょうどタイムリーな話題です。

先日、ブリズベンの近年人気が高まってきた住宅地区で、猟奇事件が発生しました。

歴史的には羊毛などの出荷用倉庫があった地区ですが、倉庫を潰して新築マンションを建てたり、レンガづくりの外壁をそのまま活用して内装を最新のアパートに改装したりで、若い人に人気の高級地区となっています。

現在、事件は捜査中のようですが、被害者はマンションの一室でバラバラにされており、容疑者は警察に追われる中、当該マンションにほど近い通りで命を絶ったようです。

凄惨な事件でしたが、不動産投資に関して言うと、オーナーには同情せざるを得ません。

事件のあったマンションは、ニュースで地番、マンション名、事件が起こった部屋の階まで公表されていましたので、地元の人には特定されています。

入居が開始して数週間ほどの新築マンションで、まだ売れ残りの物件が売りに出ています。また、賃貸募集中の部屋もあります。

容疑者は当該マンションの賃借人だったようですが、この新築物件を買ったばかりのオーナーのダメージは計り知れません。当面は賃貸も売却もダメでしょう。

それにしても、新築の入居数週間で事件を起こされるというのは、オーナーにとっては不運としか言いようがありません。

もっとも、ニュースでは容疑者の経歴についても触れていましたが、安定した職歴のある人など入居審査をしっかり行っていれば、オーナーとしてはこうした人物の入居を防げた可能性はあります。

日本では入居者の高齢化やゴミ屋敷化のリスクもあり、万が一の際の保険を提供している会社もあります。

オーストラリアでは、日本ほど縁起や怨念めいたものにこだわりがないため、仮にテナントさんに万一のことがあっても、それほどのダメージではないため、保険まではないようです。

もっとも、今回のような猟奇事件で、ニュースで場所まで報じられてしまうと話は別でしょう。

海外での不動産投資に限りませんが、物件を買った後にそうした事件が起こってしまうのは、運不運もありますので、止むを得ないことです。

自分の物件でなくても、同じ建物の別の部屋でという可能性もあります。

保険でリスクをカバーしておくのは手段のひとつです。

オーストラリアでは、テナントの故意で損害を被った場合に適用される保険はありますので、事件性がある場合は、これで対処することもできるかもしれません。(物理的な損害に限定されるかもしれませんが)

それから、入居者審査をしっかり行ってくれる賃貸管理会社も大切です。

入居申込者の言葉を鵜呑みにせず、勤務先に電話するなど、裏をちゃんと取るくらいのことはしないといけません。以前の勤務先や入居先で問題を起こしていないかなどもです。

また、珍しいこととはいえ、絶対に起こらないとは言えませんから、当面の賃料が入ってこなくてもローンの返済に困らない程度の蓄えも必要です。

高額の物件に一点集中投資せず、複数の物件(もしくは他のアセットクラス)にリスクを分散させることも必要でしょう。

既に完成済み、入居開始済みの物件の場合、売れ残り物件で、新築と言っても完成後1年くらい経過している場合もあります。それまでに、事件、事故がなかったかどうか確認する必要があります。

売り手(仲介業者含む)としては不都合なことですから、こちらから聞かなければ教えてくれません。

手始めにインターネットで何か事件や悪い噂がないか調べることもできます。

また、完成したばかりなのに既存の購入者がどんどん売りに出している、売れ残りが多い、賃貸の募集(空室)が多いという場合は、その状況に関して納得できる理由がない限り、購入は見合わせるべきでしょう。

問題があるのを承知で、あえて安値で買うというのもプロならあるのかもしれませんが、少なくとも、問題に気付かずに通常価格で買ってしまうというのは避けなくてはいけません。

2014/09/29

オーストラリア不動産の価格予測

不動産業界、金融業界のアナリストによる分析を総合すると、これから2016年ごろまでに、シドニーは10%~20%の上昇、価格上昇が出遅れていたブリスベンでは20~30%の上昇が予想されています。(2014年9月現在)
※ 新築、中古を合わせ実際に取引された価格の中央値

2016年頃が、2008年末から始まった今回の値上がりサイクルのピークとなりそうです。

シドニーは2008年末の底値から、既に価格が50%上昇しました。


一方でブリズベンは、2011年の歴史的な大洪水、続く公共経費削減から、地域経済が立ち直りを見せている局面です。
不動産価格が2011年から12年にかけて下落したこともあり、2008年末からの上昇幅は5%に留まり、大幅な上昇余地がありそうです。

ただし、シドニーでの価格急上昇を受けて、中央銀行が性急な利上げや、不動産投資への融資規制などを行い、ブリズベンでの上昇の芽を摘まないことが前提です。

2016年以降は、2018年から2019まで、価格はやや下げから横ばいで、合計マイナス5%から10%の調整下げとなりそうです。


どこまで下げるかは、ピーク期の上げ方しだいです。ソフトランディングの場合は、ピーク後も下げずに、物価上昇分(年2~3%)程度、上がり続ける可能性が指摘されています。

2018~2019年までの調整一巡後は、年平均5%程度の上昇が見込まれています。

中国経済の成長速度の鈍化、資源ブームの落ち着きから、歴史的な価格上昇率である年7%からは低下する見通しです。

近年と同様に、物価上昇率2.5%、実質GDP成長率2.5%、人口増加率1.5%として、年平均5%の価格上昇は、穏当な水準と思われます。


ただし、金利動向や、中国から逃避した資金が一気に流入するなどで、一時的に年10%超の上昇を見せる時期はありそうです。


一方で、横ばいの時期や下がる時期もありますので、今後、8年、10年といった中期で均せば年平均5%上昇の見込みということです。

上昇、下落がいつかは事前にピンポイントでは分からないため
(良心的なアナリスト・専門家は、自分にも、誰にも分からないと明言しています)、中長期的に保有を続ける必要があります。

急激な値上がりに気付いてから(ニュースや雑誌で報じられてから)動いたのでは、さらなる値上がりを織り込んだ価格でしか取得できませんから、値上がり局面の利益をフルに享受することはできません。

また、年5%といっても都市全体の平均です。立地、物件によって、平均より高くも低くもなります。
したがって、平均を上回る可能性が高い物件を選ぶということです。

2014/09/28

海外のどんな地区で買うのか

筆者のオーストラリア不動産投資の師匠、マイケル・ヤードニー氏は以下のように述べています。
「これから不動産投資で成功するには、カフェ文化がカギになる。」

伝統的には、オーストラリアでは、都心のマンションよりも、緑豊かな郊外の一戸建てが好まれていました。

600㎡くらいの敷地で、裏庭で子供たちがクリケットをして遊べるくらいのサイズです。

今でも、こうした戸建て・敷地のパッケージは売られていますが、都市人口の拡大した今では、庶民に手が届く価格帯となると、通勤にはかなり時間のかかるエリアとなります。

近年では、オーストラリアの若い年齢層では、庭付きの戸建てにそれほどこだわらなくなってきました。

マンションで良いので、歩いていける距離におしゃれなカフェやレストラン、スーパー、大きな公園がある立地が好まれるようになっています。
通勤に便利な駅やバス停まで住居から歩いていけることも重要なポイントです。

30代~40代以下の経済的に余裕のある専門職層は、こうした都心に近く利便性の高い立地を好みます。(大都市のこういう立地で戸建てだと最低でも1億円になり、さすがに手が出る人は少ないため、マンションを選択となります)

近年では、50代~60代以降の子育てが終わった層でも、戸建て住宅を売却して、店舗や病院などが近い便利な立地のマンションに移るケースも増えています。マンションだと庭や建物の手入れを自分でしなくてよい、セキュリティも安心ということもあるようです。

経済的に余裕のある層が追加料金を払ってでも住みたいと考える地区では、中長期的に物件価格や家賃が上昇していきます。その中でも新規供給が少ないエリアでは、高所得層が競いあって値を上げます。

経済的なゆとりがあることで外食の需要が多いため、おしゃれなカフェやレストランが周辺にでき、ますます富裕層好みの街並みになっていきます。

以下の写真はブリズベンの例です。


高所得層好みの住宅街(都心まで2km)
(左手にバス停、地元で人気のカフェが見える) 

高所得層好みの閑静な住宅街のストリート
(都心まで3km)

一方で、価格や家賃が安いからという理由で人が住んでいる地区では、価格を上昇させるドライバーがあまりありません。

今後10年、20年のスパンで、「経済的に余裕のある層が、どこに住みたいだろうか」と考えることが、エリア選定の鍵です。

シドニーの物件価格は、この20年間で平均約300%の上昇(価格は4倍)となりました。

この300%というのは都市全体の平均値ですが、地区によって上昇幅は200%から400%と差が付いています。

成長が低かった地区でも価格が3倍になっていますから、これでも十分と感じるかもしれません。

それでも、20年前に5000万円を投じて物件を購入したとして、ある地区で購入していれば今、15千万円の価値、別の地区なら25千万円の価値と、1億円も開きが出ています。

20年前には同水準の一等地と評価されていた地区でも、ライフスタイル、志向の変化で、現在、準一等地に下がってしまった地区もあれば、超一等地に昇格した地区もあります。

このように、地区の選定によって、将来の資産状況は大きく変わる可能性があります。

今、いい地区だと言われているところが、10年後、20年後もその地位を保てそうか、今よりも希少性を増していそうかを検証したうえで投資しなければいけません。

オーストラリアに限りませんが、将来人口が増えるから、GDPが増えるから、街のどこに投資してもいいかというと、そんなことはありません。立地によって、将来の上昇幅に必ず差がつきます。


海外からの投資だと、現地のトレンドを把握しにくいこともあります。

物件の仲介業者自身が自分でも投資しているタイプであれば、関心を持ってトレンドをフォローしているでしょうが、単に仕事で不動産を売っているだけなら(しかも外国人だけを相手に)、あまり関心がないかもしれません。

長く業界にいるなら、かえって昔の常識のままで商売を続けている可能性もあります。「地元の人はこういう物件が好みですよ」と悪気なく古い情報を伝えている可能性もありますので、注意が必要です。

投資家が自分で調べるのがベストですが、言葉の関係で難しいなら、物件を薦める業者が自分でも不動産に投資しているか、自分も近年物件を購入しているかが目安になるでしょう。

自ら投資経験のある業者であれば、地元のプロとして、どういう視点で物件を選んでいるのか有益な情報を持っているはずです。逆に、こうした情報を提供できない人の言うことは、鵜呑みにしてはいけません。

2014/09/25

海外不動産の買ってはいけない物件-大規模マンション

投資用物件としては、オーストラリアで自らも投資している不動産専門家の間では、概ね50戸以下の中・小規模のマンションが推奨されています。可能であれば、20戸以下が理想です。

大規模マンションの問題点は、複数の同じような間取りの物件が、同時に売却、賃貸募集されるリスクがあることです。値段を下げることでしか差別化できません。

さらに、建築規制の厳しいオーストラリアでは、大規模マンションを建築できる地区は限定されています。このため、こうしたマンションが開発されるエリアでは、これからも似たような大規模マンションが次々と周辺に建築される可能性が高いです。
いずれは、自分が購入した物件よりも新しい物件と競合することになります。

典型的にはタワーマンションで、間取りや広さは全く同じで、違いは階数だけというものです。
同じ間取りの物件が7階、10階、12階、15階で同時に売り(賃貸)に出ているとなると、買い手(借り手)のほうが交渉で有利になってしまいます。
「一番多く値下げしてくれた人から買う」となりますので。

また、買い手としては、将来自分が売るときも同様の状況になるリスクを織り込みますから、それほど高くは買ってくれません。(それを織り込まずに買ってしまうと、将来が大変です)

戸数が多い場合でも、低層マンション(3階程度まで)で敷地が平面的に広い場合なら、景観や立地状況に違いが出ますので、まだ差別化できます。

1LDK3LDKの間取りの割合が分散され、さらにリバービューやオーシャンビューの有無で明確な違いがあればよいです。
さらに同じ2LDKでも、バスルームの数やバルコニーのサイズがそれぞれ異なるなど、特徴のある建物がベターです。

同じ建物の中でも、こうした違いで価格水準がだいぶ異なりますから、売るとき、貸すときに競合するリスクが低減します。

開発の規模が大きくなるほど、宣伝・広告にも資金を投入でき、外国人投資家の目にも留まりやすくなります。
メルボルン中心部の開発案件では、地元の人に比べて高く買ってくれることが多い海外(中国)でしか宣伝していないと問題になったほどです。

閑静な住宅地での全8戸の小規模開発なら、海外向けに大々的に宣伝されることはありません。
本来、キャピタルゲインを狙うなら、こうした希少性のある物件を追うべきです。

そしてこうした小規模物件は、何も秘密で売られているわけではなく、オーストラリアの主要不動産サイトにはちゃんと宣伝されています。(もちろん、ネットで世界のどこからでも閲覧可能です)

日本のワンルームマンション投資の場合、キャッシュフローの兼ね合いで、一戸当たりの管理費、修繕費が抑えられる規模が比較的大きいマンションのほうが人気です。
概ね50戸以上はないと、取れる家賃に比べて、管理費や修繕費の負担が大きくなってしまいます。

一方、オーストラリアでは、大規模マンションではエレベータ、プール、ジムなどの付帯設備のコストがかかるため、大規模マンションのほうが維持管理費が高くなる傾向があります。特にエレベータの維持管理費は大きな割合を占めます。

このため、玄人の投資家は、低層の小規模物件を好みます。維持管理に係る保有コストをできるだけ抑えながら、キャピタルゲインの期が熟すのを待つというやり方です。

アジアの大都市で投資する場合は、セキュリティの兼ね合いで、外国人投資家向けの物件は、どうしても大規模マンションになると思います。キャピタルゲインを狙っての投資なら、大規模物件特有のリスクを織り込んでおくことが必要です。

周辺に同じような大規模マンションが次々に建設される可能性がある一方で、それを上回るほどの経済成長や住宅需要があるかということです。

融資に関して、オーストラリアでは、銀行は建物自体に万が一のことがあった場合のリスクを考慮し、同一マンション内での貸出し数を制限しています。このため、既に大勢の投資家が条件の良い銀行からローンを引いている場合、自分はその銀行からは借りられないリスクもあります。

また、銀行によっては、4階建て以上の建物への融資額を制限しているケースもあります(自分が購入するのは2階部分であっても制限を受けます)。

この場合は、頭金を3割入れるか、頭金を少なくしたいなら特別な手数料を支払う必要があります。銀行としては、過去のデータ・経験から、こうした規模の大きな開発案件のリスクを考慮しているということです。

2014/09/24

海外不動産の買ってはいけない物件-ワンルーム系

海外では外国人投資家向けの物件に、日本のワンルームのように狭い物件は通常ありません。
(アジアの大都市なら、あるにはありますが、借り手が貧困層等となり、賃貸管理の面で大いに不安があります)

海外にも、ワンルームに近いものとして、Studio(ステューディオ)と呼ばれる間取りがあります。
キッチン、リビング、ベッドルームが一続きの間取りです。このStudioでも、オーストラリアでは40㎡前後あります。

 ※日系業者では「スタジオ」と表記している場合がありますが、現地の人には通じません。

オーストラリアでは、基本的に内部の専有面積(バルコニー除く)で50㎡以上でないと、ローンを組めません。(一部銀行では40㎡あれば可のところもあるようです)

銀行が資金を貸さないということは、資産性、賃貸経営の面で、銀行としてはリスクがあると考えているということです。

ローンが組めないとなると、買うときは現金購入で、売るときも現金で買える人にしか売却できません。
しかも、ニューヨーク、ロンドンの超一等地ならいざしらず、Studioを自宅用に購入する人はほとんどいません。ということは、売却の対象は投資家に限られます。

物件自体の値上がりがそれほど見込めないとなると、買い手の投資家は家賃の利回りだけで判断するため、将来、高く売り抜けるのも困難です。

つまり、Studioは、比較的安価で購入できる反面、キャピタルゲイン狙いの投資には不向きな間取りです。

Studioタイプの賃貸需要に関しては、文化圏によると考えられます。

欧米文化の場合、学生やまだ稼ぎの少ない若い人は、年齢の近い親戚や友人などとシェアするのが普通です。例えば2LDKのマンションを借りて、ベッドルームはそれぞれ専用に使い、バス・トイレ、キッチン、リビングは共同で使います。

友人や知人を招いての食事会やパーティーを催す文化がありますので、やはりそれなりの広さのリビングがほしいということです。

Studioの場合、ベッドは置いてあるし、プライベートな小物は置いてあるしで、大勢の人を迎えるのは難しいのです。(友人の友人を自由に連れてきても構わないというスタイルが通常ですので、さすがに初めて会う人にベッドルームは見せられません)

金銭的にも、狭いStudioを一人で借りるよりも、2LDKを二人で折半して借りたほうが一人あたりの負担が安く済むことが多いことから、イギリスやオーストラリアではシェアが通常です。

2LDKにも、バスルームが1つのもの(たいてい築古)と、2つのものがあります。当然、後者のほうが物件価格も家賃も高いですが、シェアする場合の快適性も高くなります。この点は、物件価格、家賃水準との兼ね合いですので、どちらがよいかはケースバイケースです。

シェアの文化のない日本では、独身と言えばワンルームです。老若男女全ての層からの需要があります。

欧米文化圏では、Studioに住んでいるのは、独身で、シェアするよりも割高の家賃が払えるくらい稼いでいて、さらに他人との同居が嫌だという人に限られます。

もっとも、ある程度稼いでいる独身者は1LDKを選びますので、Studioを貸すためのターゲットは一層少なくなります。

Studioを借りるとすれば、都心に近い一等地で、本当は1LDKを借りたいけど手が出ないので、仕方なくStudioに住むというケースです。

一方で、2LDKの間取りなら、若い人のシェアにも対応でき、経済的に余裕のある若いカップルや、子供のいるファミリーにも幅広い層に対応できます。オーストラリアでは、マンションの間取りで最も割合が多いのが2LDKです。

2LDKの場合、将来の売却の際には、投資家に加えて自宅購入者もターゲットにでき、出口戦略も取りやすくなります。

なお、2LDKの中には、大学の近くなどの立地で、初めから学生がシェアすることを前提に作られた狭小2LDK(左右対称の小さなベッドルームが特徴)もあります。リビング、キッチンもかなり小さめです。

この場合は、2LDKといっても自宅用に購入する人はほとんどいませんので、将来の値上がり余地も限定されます。

1LDK、2LDKへの投資の場合、ワンルームに比べてサイズが大きくなるため、1件当たりの投資額がそれなりに大きくなります。
資産価値の上昇が期待されている地区(需要の強い地区)で、外国人投資家が購入できる新築の2LDKとなると、シドニーなら5000万円、ブリズベンなら4000万円が最低ラインでしょう。

さらに各都市の一等地で購入したいとなると、それぞれ1000万円~1500万円は上積みする必要があります。(1ドル=100円程度として)

海外で不動産に投資するにあたっては、独身者の人口が増えるというデータがあったとしても、独身者がどのような間取りを好むのか、文化的な背景も調べる必要があります。

少なくとも欧米文化圏(マンションをシェアして借りる慣習がある文化圏)では、資産性、賃貸のしやすさの観点から、Studio(ワンルームタイプ)はお勧めできません。

2014/09/23

海外不動産の買ってはいけない物件-コンドミニアム

週1、2回の掃除やゴミ捨てサービスが付帯している家具付きのマンションです。オーストラリアではServiced Apartmentと呼ばれています。

入居してすぐに生活を始められ、電気や水道などの利用申し込みも不要なため、現地に不慣れな人にとっては便利な居住形態です。

もっとも、公共料金込みで、サービスに付加価値が付いている分、自分でマンションを借りるのよりは割高です。それでも、フルサービスのホテルに泊まるのに比べれば、広い部屋に割安で滞在できます。

利用者は、比較的長く滞在する旅行者や、海外からの駐在員(途上国の場合)がほとんどです。

自分でマンションを借りるのに比べて割高になるため、地元の人は通常住んでいません。途上国に比べて治安や生活インフラの心配がない先進国では、駐在員でもこうしたタイプには住んでいないでしょう。

先進国の場合、借り手は旅行者、出張者になりますから、数日・週単位の契約など、基本的にテナント付けが不安定です。

また、都心に近いところでは、地元の人が住んでいるマンションの中に、一部、こうしたコンドミニアムとして短期滞在用に貸し出している部屋が混在しているケースもあります。

こうしたマンションに住んでいる知人がいますが、旅行者が多いため、(旅先で気分が高揚してか)夜遅くまで騒がしい、出入りしている人の素性が分からないなど、住民には評判が良くありません。

このため、自宅用に買いたいという地元の人の需要が少なくなります。オーストラリアの都市部では、住居購入者の6割が自宅用、4割が投資用ですが、後者の投資家しか売却の対象にできません。
さらに、投資家の中で、そもそもコンドミニアムを投資対象にしていない人は大勢います。

売却の対象が狭い上に、投資家は「価格を上積みしてでも、そこに住みたい」とは考えませんから、将来の値上がり(キャピタルゲイン)が狙いにくい物件となります。

また、地元の人があまり住まない、買わない物件となると、その地域の人口、GDPが成長しても、物件価格もそれに応じて伸びるとは限りません。

また、家賃収入に関しても、確かに取れる家賃額は通常のマンションより高いですが、短期滞在型の場合、ずっと満室ということはないこと、サービス運営会社のマネジメント料が通常の賃貸管理より高いことに注意が必要です。

また、観光産業に依存している地域の場合は、空室率や家賃が景気状況に大きく左右されます。景気が悪くなると旅行費が削られるためです。

都市部の駐在員滞在型の場合、家賃水準の関係で地元の人が借りられませんので、企業の進出・撤退状況に大きく左右されます。2008年のリーマンショックのころ、東京の六本木の高価格帯マンションが大苦戦したのと同じです。

投資対象国が先進国であれば、特定の産業に依存した地域で、あえてコンドミニアムを買う必要はないと考えます。

もちろん、自分が利用するためなら話は別ですが、この場合は、将来値段も上がればラッキーくらいの感覚で、投資と考えないほうがよいでしょう。

GDP、人口、物価が上昇している地域であれば、買った時よりも値段は上がるかもしれませんが、通常のマンションに投資する選択肢があるのなら、あえてコンドミニアムを狙う必要はないでしょう。

フィリピンなど途上国の場合は、まともな建物管理、賃貸管理ができ、ちゃんと家賃を払ってくれるテナントさんを見つけるには、駐在員対象のコンドミニアムくらいしかないこともあります。

現状、こうした国では、地元の経済的に余裕のある層は賃貸住宅になど住まないはずで、地元の賃貸マーケットが育ってくるには、長い時間がかかりそうです。

この場合は、コンドミニアムで将来の大化けに賭けてみるという手もあるかもしれません。
もっとも、現地の価格、家賃相場をしっかり把握したうえで、信頼できる賃貸管理の現地パートナーがいればということですが。特に後者が重要ですね。

ギャンブル性が高いということは認識したうえで、ポートフォリオの一つとして組み込むのは筆者も面白いと考えています。

株式投資で言えば、安定した大型株に、成長が期待される小型株、新興株を組み合わせる感覚です。もっとも、現地の都市開発や商慣習などの事情に詳しい方は別として、国内での不動産投資の経験もなく、途上国の物件に大きく賭けるのはお勧めできません。

人口、GDPの伸びが見込めるといっても、自分が購入した建物の耐久性能、管理・運営状況など個別のリスクもあるからです。

途上国の場合、街づくり自体も浮動的ですから、自分が購入した地区が10年後、20年後にどのような姿になっているか、見通しも大切です。

都市の成長に伴い、今の一等地が超一等地に、二等地が一等地に化ける可能性も秘めていることが面白いところでもあります。

もっとも、二等地は20年経っても二等地のままということもよくありますので、単なる「安物買い」にならないように都市開発の見極めが必要です。

例えば、万国共通で地区の価値を大きく変えるのは、電車の駅の新設です。街の規模が拡大するに従い、道路は渋滞し、都心部の駐車料金も高くなり、自動車での通勤が難しくなります。

シドニーやロンドンでは、中心部に車で乗り入れるだけで通行料金がかかります。このため、通勤に電車が使える地区の価値が高まってくるのです。

2014/08/08

世界の住宅市場に流入する中国マネー

中国の調査会社によると、中国の富裕層のうち、海外に移住した人や希望している人が64%もいます。66%は国籍を捨ててもいいと考えているようです。政治リスク、環境汚染問題への懸念がその理由に挙げられています。

アメリカの住宅市場では、1年で22000億円相当の資金が中国から流入し、外国人購入者のうちの24%を占めています。平均購入価格は約6000万円と外国人トップで、76%の購入者が現金払いです。

カナダでは富裕層を対象とした投資移民ビザの制度がありましたが、思ったほどの経済効果がなく、社会的な軋轢を生んでいるとして、大幅に制限されました。

このビザが下りるのを順番待ちしていた人が世界で65千人ですが、ビザをもらう道はほぼ閉ざされたようです。そのうち、45千人が中国本土と報道されています。
富裕層から列をなして母国から逃げ出そうというのですから、大変な状況です。

中国本土の富裕層に人気の海外の不動産投資先は、HSBC銀行の調査によると以下のとおりです。
・ 香港 49
・ アメリカ 28
・ シンガポール 14
・ オーストラリア 9
・ イギリス 9
・ 台湾 9
・ ニュージーランド 6
・ マレーシア 4

クレディ・スイス銀行調査によると、オーストラリアの住宅市場にも、中国から年間5千億円以上が流入しています。
シドニーでは、新築物件の5分の1が中国の投資家に売却されました。

東京でも、財閥系商社が開発した赤坂の分譲マンション(一戸6千~7千万円)で、中国、台湾の投資家が60%を占めたケースもあったようです。中国からの投資額は際立っています。

カナダへの投資移民の道がほとんど閉ざされたことによって、移民を希望する富裕層はオーストラリアに一層向かいそうですが、外国人による投資の増加は、オーストラリアでも徐々に社会的な注目を集めています。

経済の活性化につながるので賛成という立場と、値段が押し上げられて自国の庶民が住宅を変えなくなると反対する立場に分かれています。

オーストラリア中央銀行の総裁が議会で証言した内容によると、外国人への購入許可件数は、直近9か月で既に1万件以上の許可が出ており、2013年全体の6,500件を上回っています。
(明らかな規定違反でもない限り、基本的に申請すれば許可が出る制度です)

また、海外からの住宅投資金額は、全国の住宅の価値に占める割合で12%に上昇しています。(従来の水準は510%)

海外からの住宅投資のほとんどは、シドニーとメルボルンの中心地に近い新築マンションです。2013年の実績では、これら2都市で80%近くを占めています。

2013年までの一年間で、外国人が購入した物件の平均価格は、中古物件が約1億円、新築物件が約6,500万円でした。

新築は誰でも購入できますが、中古はある程度の期間オーストラリアに滞在可能なビザを持っていないと購入できません。もっとも、留学ビザでも中古物件の購入ができるため、留学している子供名義で購入している中国の投資家が多く、制度が形骸化していることも問題になっています。

当面、中国からの資金流出は止まりそうもありません。伝統的に中国の投資家が好む地域への投資に乗っかるのも、今後も資金の流入が見込めて価格が支えられるということで、アイディアの一つでしょう。もちろん、既にバブルになっている地域で高値掴みしてはダメですが。

2014/08/05

シドニー、メルボルンを中心に堅調な価格上昇

オーストラリア主要都市の不動産価格は、直近1年間、堅調に推移しています。

シドニー(下図の水色)が15%上昇でダントツですが、メルボルン(紺色)も10%超の上昇です。


出遅れ銘柄として期待されているブリズベン(茶色)ですが、ここからもうひと伸びできるかが見所です。

一部の先回り派の投資家を除いて、国内外の投資家の目は、今のところシドニー、メルボルンに向いています。

価格上昇を引っ張っている2都市がどこまで伸びるかです。シドニーでは平均的な住宅の価格が7,500万円相当と、既に一般の投資家や実需層には手が出しにくい水準に近づいています。

シドニー、メルボルンでは手が出ない、今から投資してもうまみがない、という見方が今より一般的になれば、ブリズベンに資金が向いてくるでしょう。

とはいえ、2015年中か2016年前半には中央銀行の利上げが見込まれており、2011年頃に始まった今回の不動産価格上昇のサイクルは、せいぜい2016年までとされています。

出遅れたブリズベンの価格が割安で、これから上昇すると予想されているとはいえ、中央銀行の利上げは全国に影響します。利上げがブリズベンの価格上昇に水を差す可能性は十分考えられます。

シドニー、メルボルンは価格上昇の恩恵を十分に享受しました。これからブリズベンにも順番が回ってくるかが見ものです。